2008年3月29日土曜日

システムバイオロジー


システムバイオロジー—生命をシステムとして理解する
北野 宏明
303ページ
出版社:秀潤社
ISBN:9784879622402
発売日: 2001/06
Amazon.co.jpで詳しく見る

【目次】

序章 システムバイオロジーとは何か

1 分子生物学とシステムバイオロジー

2 ”システムとして理解する”とは
2−1 分子からシステムへ
2−2 システムレベルでの理解への4段階
2−3 システムバイオロジーのAGTC

3 中核的研究テーマ
3−1 生命のリバースエンジニアリング
3−2 ロバスト・システムとしての生命
3−3 デザインパターンの蓄積
3−4 生命システム・エンジニアリング

4 システムバイオロジーの展開

●工学システムと生命システムの共通点と相違点


【注目したポイント】

 今回は、北野 宏明 さんの著書「システムバイオロジー」の序章『序章 システムバイオロジーとは何か』をご紹介します。

 まず、システムバイオロジーの説明を引用します。

システムバイオロジーとは、生命をシステムとして理解することを目指した生物学の新しい分野である。

 これまでの、要素還元論的な研究姿勢で生命の全体を捉えることは困難であるという考えが徐々に広まりつつあります。システムバイオロジーでは、それぞれの要素(遺伝子や蛋白質)がネットワークを形成して、生理現象を組織的に制御している様子を捉えることを目的としています。

 
2−1 分子からシステムへ

 システムバイオロジーを研究する際に、従来の研究におけるアプローチが変化することに留意しておくべきだそうです。著書から引用すると、以下のとおりです。

「モノ」(物質)の理解から「コト」(状態とプロセス)の理解への展開とそれに伴いアプローチが拡大する

 つまり、物質を観察する方法と物質が織りなす現象を観察する方法は違ってくるということでしょうね。例えば、培養している細胞を観察する場合は、顕微鏡で観察し、写真を撮ると良いです。また、細胞の運動を見たい時は、ビデオカメラで撮影しながら培養すると良いですね。


2−2 システムレベルでの理解への4段階

 システムを理解するためのプロセスを引用します。

(1)システム構造同定
(2)システム分析
(3)システム制御
(4)システム設計

 理研の上田 先生がよく説明されているように、時計を分解して、(1)歯車の大きさや形を測定して、(2)それぞれの歯車や部品の関係を調べて、(3)それらをもとに設計図を書いて(4)一から作ってみるということですね(上田 泰己 先生のラボサイトも参照下さい)。

 まず、はじめの段階として、『システム構造同定では、生命のシステムとしてのダイナミクスは遺伝子の制御関係から始まる代謝・信号伝達系のネットワークにある程度の基盤を置くことができる』そうです。マイクロアレイ解析などがあてはまりますね。


2−3 システムバイオロジーのAGTC

 AGTCとは、以下の4つのことだそうです(北野 宏明 先生のJST研究成果も参照下さい)。

Analysis
Computing
Genetics
Technology


3−1 生命のリバースエンジニアリング

 高効率な遺伝子・代謝・信号伝達ネットワークを同定する過程で、大切な課題は2つあるそうです。

  1:生命のリバースエンジニアリングを行う技術体系の確立
  2:予測能力のある理論の構築

《1:生命のリバースエンジニアリングを行う技術体系の確立》

 リバースエンジニアリングとは、すでに存在する製品を分解するなどして、その設計図を再構成したり、原理を推定したりする作業である。

(1)フォワード・キネマティックス
与えられた状態からそのシステムの挙動を予測する
(2)インバース・キネマティックス
システムの挙動に関するデータからシステムの構造とパラメータセットを推定する

《2:予測能力のある理論の構築》

例)発現プロファイルからネットワークを推定するアプローチで理論予測した場合
遺伝子回路の論理的または数学的構造を特定することは可能
→ しかしどのように実装されているかは、常に一意には決定できない


3−2 ロバスト・システムとしての生命

 大腸菌の70~80%の遺伝子は、スタビリティー(安定性)とロバストネス(頑強性)を確保するために獲得されたと考えてよいそうです。2:8の法則になっているのは、偶然でしょうか?


【参考サイト】

体内時計の同定・解析・制御・設計について分かりやすいムービーが見られます。
 → 上田 泰己 先生のラボのLSBの活動

ATGCサイクルについて解説されています。
 → 北野 宏明 先生のJST研究成果 研究最前線:コンピューター上でダイナミックな生命現象を解明


【バックリンク】

● 第47回生体医工学会大会に出席しました
● in silico medicine 第5回 定例シンポジウムに参加しました

「あわせて読みたい」を導入してみました

↑080329現在はこのようなリストになっています。

↓各ブログは以下のとおり、いろいろなブログがあって面白いですね。


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脳と遺伝子の生物時計

サーカディアンリズムについて詳しく解説されています

  • 書名:脳と遺伝子の生物時計—視交叉上核の生物学
  • 著者:井上 慎一 (著)
  • 発売日:2004/03
  • 項数:164ページ
  • ISBN:9784320056084
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

【バックリンク】

● 第47回生体医工学会大会に出席しました

2008年3月27日木曜日

第85回 日本生理学会大会に参加しました



東京で開催された日本生理学会大会に参加してきました。

IUPS(International Union of Physiological Sciences)シンポジウムが催されました。

『日本におけるフィジオーム・システムバイオロジー研究 現状と今後の展望』
Physiome and systems biology in Japan: Present and future prospects

4人の先生方の講演がありました。

理研の上田 泰己 先生は、
「体内時計のシステムバイオロジー」

東大の黒田 真也 先生は、
「スパイクタイミング依存性シナプス可塑性のシステム生物学」

東北大の中尾 光之 先生は、
「階層的生体システムのモデリングについて」

阪大の野村 泰伸 先生は、
「フィジオーム研究推進のためのオープンプラットフォーム構築」

上田先生は、シンギュラリティ現象を解明した研究内容について発表されていました。
非常に興味深い内容でしたので、またレポートします。

東京は桜がきれいでした。

2008年3月25日火曜日

2008年3月23日日曜日

とても便利なGoogleデスクトップ

 *あのファイルがどこにいった?
 *さっきみてたウェブサイトどこだっけ?
 *このキーワードで昔、作業してたような・・・?

というときに、非常に便利なのが、Googleデスクトップです。Win / Mac両方あります。
私は、Spotlight(Mac OS 10.4)と合わせて使っています。これで、ほとんどのファイルは見つかるようになりました。おすすめです。



【参考サイト】

Google デスクトップ - ダウンロード

【バックリンク】

● Vistaでデスクトップ検索

2008年3月22日土曜日

どう質問したらいいのかという時に

 「質問をするように」と言われてしまうことがたまにありますよね。基本的な質問は、どうしても気が引けてしまいますよね。また、後輩へも、「質問するように」と指導してしまいがちです。でも、「どう質問すべきか?」を伝えることが大切だと思います。したがって、今回はどう質問すべきかについて考えてみます。

 まず、質問の種類について考えてみます。飯久保 広嗣 さんが著書『質問力』で書かれているとおり、質問には、大きく分けて「なに?」と「なぜ?」の2つがあります。つまり、「なに」は知識を獲得するための質問で、極端に言えば質問と答えが対になっています。これに対して、「なぜ」は知性を働かせる質問で、質問に対する答えは何通りもあります。したがって、質問する本来の目的を達成するためには、この2つの質問を明確に使い分けることが肝要です。

 つぎに、質問する時の心構えについて、島岡 要 先生が『うまく質問するために覚えておくとよい10のポイント』にまとめられています。参考になりましたので、引用します。

1)マイクを使う
2)会場のざわめきがおさまるまで一時のポーズを
3)言い訳をしない
4)演者をファースト・ネームで呼ばない
5)しゃべりすぎない
6)短く簡潔に
7)2つ以上質問をしない
8)もし適切ならば、単なる質問だけでなく少しだけ何か自分のことを言いましょう
9)(シャウトではなく)声を張りましょう
10)質問することであなたが成長するということをお忘れなく。

ハーバード大学医学部留学・独立日記:うまく質問するために覚えておくとよい10のポイント

6)長い質問は、つまり、質問が濃縮されていないということでしょう。
(何がききたいのか分からない状態に近いのかもしれません)

7)は複数質問する時は、1つずつという意味です。

3)言い訳とは、たとえば「素人の質問で申し訳ないのですが...」
 → これは時間がもったいないからだと私は解釈しています。
(学会の質疑応答時間はタイトに設定されているため)

 ただし、島岡 先生がつづけて記されているとおり、無知を開き直るのはよくないでしょうね。
大事なことは「素人の質問で申し訳ないのですが...」的態度の根底に無知を恥じるかすかな気持ちを常に持つことではないでしょうか。

ハーバード大学医学部留学・独立日記:専門家根性

確かに、このような気持ちがない人の質問は、聴いているこちらが悲しくなりますね。

 また、私自身がいつも気をつけていることは、以下のことです。

予め、「何を聴ききたいか?」を決めて聴講する。

 学会などに出席した際に、聴講報告書を求められることがありますね。これは、アウトプットを前提としたインプットが心がけられます。ですから、形式的な 提出に終わらせるのではなく、文章トレーニングのひとつとして書くと良いと思います。事前に配られる要旨集はよく読み、講演内容を把握しておくことも、当日質問するためには大切な準備のひとつですね。
(でないと、時間の無駄ですので)

 最後に、質問に失敗しないための6つのコツをご紹介します。(つまり以下の項目の逆をすれば、質問上手になれると考えています

◆質問が下手な人に多く見られる傾向

1.気配りができない
2.自己中心的で、相手を考えない
3.質問に応じてくれることのありがたさに気づかない
4.謙虚さが足りない
5.情報が集まってこない
6.他者と、心のふれあう関係ができない

質問する技術が面白いほど身につく本 櫻井 弘 (著), 内山 辰美 (編集)

【参考書籍】


(1)質問の定義、質問を成り立たせる論理について詳しく解説されています

  • 書名:質問力—論理的に「考える」ためのトレーニング
  • 著者:飯久保 広嗣 (著)
  • 発売日:2003/02
  • 項数:238ページ
  • ISBN:9784532310332
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

(2)質問する準備やポイントについてまとめられています

  • 書名:質問する技術が面白いほど身につく本 (知りたいことがすぐわかる)
  • 著者:櫻井 弘 (著), 内山 辰美 (編集)
  • 発売日:2003/7/1
  • 項数:159ページ
  • ISBN:9784806118336
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

【関連記事】

● セミナーを受ける前に

【バックリンク】

● 学生のうちにしておくべきこと
● 何を質問したらいいのか?
● いい質問をするために気をつけるべきこと

転写ファクトリーのダイナミクス

 ソニーコンピュータサイエンス研究所の北野 宏明 先生が、『システムバイオロジー』で説明されている通り、細胞内の現象をシステムとして捉えるときには、高精度かつ大規模な実験が必要です(1)。

 DNA マイクロアレイ法は、遺伝子の測定法の一つです。本法は、オリゴヌクレオチドを高密度に基盤に搭載することにより、RNAの量を網羅的に定量することが可 能です。したがって、システムバイオロジーでは、マイクロアレイ法を利用して、遺伝子発現データからの知識抽出を行う研究が数多く行われています。

 今回紹介するテーマは遺伝子発現です。最近開発されたタイリングアレイをつかうと、転写されているRNAをほとんどリアルタイムで正確に測定できつつあります。これを使って、RNAの転写のメカニズムに迫ります。

 まず、転写反応の背景を簡単に説明します。これまで、DNAの転写(遺伝子発現)の素過程は以下のように考えられていました(2)。

1.RNAポリメラーゼIIを含む転写因子複合体がDNAに結合する。
2.転写酵素(RNAポリメラーゼII)がRNAを合成しながらDNA上を移動する。
3.転写終点でのDNAからの転写酵素複合体の解離


 つまり、転写酵素複合体を編成電車に例えて、おおざっぱなイメージとして表現すると・・・

『電車が一つ一つ連結しながら、線路の上におりてきて、終点でまた、ばらばらになりながら飛んでいく。』

という感じでしょうね。

 しかし、今回ご紹介する実験結果では、転写ファクトリーと呼ばれる転写因子複合体が、核の中で固定されていてDNAが読まれていくと考えられます。

 少し古いたとえですが、

『白黒映画に出てくるような紙の暗号を読む解読機』

という感じでしょうか?

 では、東大先端研の児玉 龍彦 先生の『転写ファクトリーのダイナミクス』についてご紹介します。非常に興味深いので、個人的に大好きな研究のひとつです。



医学のあゆみ 2007年 11・12号 223 (11•12)
■Quantitative Biology −定量的生物学

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転写ファクトリーのダイナミクス
児玉 龍彦


【目次】

・遺伝子発現は厳密に制御されている
・染色体上の転写を観測する
・転写は数サイクルの波としておこる
・計量生物学からつくられる転写ファクトリーのモデル
・第二サイクル以降の転写の謎
・癌細胞の染色体転座と転写ファクトリー


【注目したポイント】

・遺伝子発現は厳密に制御されている

 ヒト細胞の不思議のひとつは、どのようにして分子レベルのミクロ情報が細胞の動きや個体の動きというマクロな動態を制御していくか、という点にある。


 フィジオーム(オミックスペース)はしばしば階層構造として説明されます。筆者が言うように、下層に位置するDNAやRNAから生体機能への上向的因果性はよく知られていますがてこの原理でいうと、私も小さい方に興味がすごくあります(5)。

 今回の実験の転写反応のきっかけは、TNFα(炎症性サイトカイン)です。この1つのサイトカインをヒト血管内皮細胞に処理するだけで、500以上の遺伝子が順次転写されていくそうです。時系列の精密な転写誘導は、「オーケストレーション」と呼ばれているそうです。

・染色体上の転写を観測する

 これまでの転写反応の背景は、先述のとおりです。その一方で、実際にはヒトの細胞でmRNAは転写とともにスプライシングなどが起こることが知られていました。しかし、その詳細な観測は技術的に困難だったそうです。

 そこで、筆者は染色体上の配列を13塩基ごとに測定できるタイリングアレイを利用して、7.5分という短い時間間隔でRNAの合成過程を精密に測定することにしました。

・転写は数サイクルの波としておこる

  一般的に、RNAの転写のスピードは3,000塩基/分であることから、100 kb以上の遺伝子であれば30分以上かかって転写されますね。そこで、7.5分間隔にすることにより、4点以上でスナップショット的にRNAの量を観察す ることが可能になるそうです。(個人的にはこのきっちりした戦術の組まれ方に感動してしまいます。)

 そこで、486 kb以上あるZFPM2遺伝子のRNAの発現量を、TNFα処理して3時間後まで観察すると、DNA上の各配列が、順番に転写されていく様子が観察出来て います。(理論的には、ZFPM2は約160分で全長が転写されるはずである。実際のデータは180分までであり、きれいなひと波になっている。)

  さらに、イントロンRNAのin situハイブリダイゼーションや質量分析によるコピー数測定の結果をあわせると、1個の転写ファクトリーでは20個のRNAが一度に作られている計算に なるそうです。また、1つの遺伝子については、2箇所のイントロンが一個の細胞の中で、同時に転写されることはないそうです。(一分子測定は、とても説得 力があります。)これは、ゲノムが固定されていて、転写酵素複合体が近づいてくる従来のモデルで考えると、1つのプロモーターにつぎつぎ転写酵素複合体が 結合すれば、複数のイントロンが同時に転写されるはずであるので、この理論では説明できない現象ですね。

・計量生物学からつくられる転写ファクトリーのモデル

 以上の計測結果から考えられる新しい転写モデルは、「核内に存在する転写ファクトリーにDNAが引き込まれ、20個程度のポリメラーゼが転写反応を進めている」ということになります。論文内ではさらにDNAのねじれをただす機構についても興味深い考察がされています。

・第二サイクル以降の転写の謎

  引き続き、転写を観察すると第2波以降は、第1波の転写パターンほど秩序だった転写の移動が見られないそうです。なぜこのようなことが起こるのかは、現時 点では謎ですが、クロマチンコンフォーメーションキャプチャー法という技術で、DNAを三次元的に観察することで明らかになるかもしれません。

・癌細胞の染色体転座と転写ファクトリー

 さらに、癌細胞における染色体の転座にも転写ファクトリーが重要であるという知見が得られているそうです。


【参考書籍】

(1)システムバイオロジーにおけるインフラストラクチャー(基盤環境)について

システムバイオロジー—生命をシステムとして理解する
北野 宏明
303ページ
出版社:秀潤社
ISBN:9784879622402
発売日: 2001/06
Amazon.co.jpで詳しく見る


(2)遺伝子発現の素過程について

遺伝子発現—ジーンセレクターから生命現象へ
堀越 正美
521ページ
出版社:中外医学社
ISBN:9784498008403
発売日: 2002/05
Amazon.co.jpで詳しく見る


(3)転写ファクトリーの確率論的形成について

細胞核構造と機能のストカスティックな制御
木村 宏
生物物理43(5), 234-239(2003)
J-STAGEで詳しく見る
日本生物物理学会


(4)転写ファクトリーと核内構造(木村 宏)「固定」された転写ファクトリー

転写がわかる 基本転写から発生,再生,先端医療まで
半田 宏
128ページ
出版社:羊土社
ISBN:9784897069944
発売日: 2002/10
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(5)上向的因果性(階層的自己組織化)

生命-進化する分子ネットワーク—システム進化生物学入門
田中 博
263ページ
出版社:パーソナルメディア
ISBN:9784893622037
発売日: 2007/07
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2008年3月21日金曜日

PubMedの使い方

 『G-COE spring 2008 database』では、文献情報データベースとして、PubMedを紹介しました。今回は、PubMedの使い方を詳しく解説してくれているサイトをご紹介します。


◆東邦大学医学メディアセンター
PubMedの使い方


メインページのサイドバーの説明が詳しいです。

◆東京慈恵会医科大学学術情報センター
PubMed利用ガイド

検索を定期的に行い、自動的に更新情報をお知らせしてくれる機能について詳しい説明があります。


【関連記事】

G-COE spring 2008 database


【バックリンク】

● Google Scholarを活用しよう

2008年3月20日木曜日

クリエイティブなアイデアを生み出すために

 実験が行き詰まった時や、新しい研究を始める時には、どうしたらいいかと悩むことがよくありますよね。島岡 要 先生の『ハーバード大学医学部留学・独立日記』から、アイデアの出し方についてエントリされていた記事をご紹介します。

”クリエイティブな素晴らしいアイデアは後半1/3に出てくる”

クリエイティブな素晴らしいアイデアは(もしあるとすれば)頭の奥底に眠っている。しかし、普段はほかの簡単に思いつくような「陳腐なアイデア」で頭が いっぱいで、「素晴らしいアイデア」の出てくる余地がない。したがって、すべきことは「素晴らしいアイデア」を積極的に考え出すことではなく、「素晴らし いアイデア」が自然に出てこられるように多くの「陳腐なアイデア」を頭から追い出すことである。
「頭の中を掘り起こす」イメージですね。とにかく頭にあることを全て書き出していくと良さそうです。
ポイントは4つあるそうです。
1)質より量 (Go for the quantity, not quality)
2)批判厳禁 (Absolutely no criticism)
3)おかしなアイデア大歓迎 (Weird ideas are welcome)
4)他人のアイデアをもじってみよ (Transform other's idea)
「否定しない」のは有名なルールです。複数人で行う場合は、予め論理的な議論とブレインストーミングとは違うという認識を共有しておく必要がありますね。

フレドリック・ヘレーンさんのアイデア・ブック スウェーデン式という本の一節『アイデアは潰されやすい』を思い出しました。

アイデアは、とてもか弱い存在だ。嘲笑やあくびに抹殺され、皮肉の刃にかかり、冷たい表情に死ぬほど脅かされる

この本は、ビジネス本ではありません。エピソード毎にお話がまとめられていて、気楽に読めますのでおすすめです。
  • 書名:アイデア・ブック スウェーデン式
  • 著者:フレドリック・ヘレーン (著)
  • 発売日:2005/3/11
  • 項数:90ページ
  • ISBN:9784478760963
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

【バックリンク】

● ただの批判は創造的ではない

コンピュータの中の脳—情報基盤の進化論—



生体の科学 2008年 02月号 59 (1)
■特集 コンピュータと脳

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今回は、理化学研究所の豊田 哲郎 先生のオミックス進化論についてご紹介します。

【目次】
1.オミックス進化論
2.環境を進化させる”人間の脳”
3.社会を進化させる”共有の脳”
4.依存の表明
5.オミックススペース
6.セマンティックウェブ
7.オントロジーと現象学
8.ライフサイエンス統合データベース
9.スーパーブレイン


【注目したポイント】

1.オミックス進化論

  オミックスとは、生体の持つ分子情報(DNA, RNA, proteinなど)を網羅的に観察して分析する研究のことです。これまで生命は、38億年かけて進化してきました。また、システムバイオロジーは、生命 をシステムとして理解することを目的としています。したがって、生命の進化は、システム(分子ネットワーク)の進化ととらえることができます。この ようなシステムの進化は、単独で進化している訳ではなく、生命の進化・社会の進化・経済の進化などと『共進化』しているそうです。オミックス研究の発展に より、生命の情報化がますます加速すると考えられます。本論文では、データベース化された情報の価値判断を行う『スーパーブレイン』について紹介されてい ます。

2.環境を進化させる”人間の脳”

 オミックス進化 論では、「自然選択がはたらく物質世界と、経済選択がはたらく情報世界とを輪廻することで、エリート遺伝子の最適な組み合わせが選び出される」という新し い進化モデルが提唱されていることを示されています。経済選択とは、遺伝子が人間社会に有益かどうかで選択されることだそうです。その判断には、遺伝子に 関する膨大な情報分析が必要ですが、コピュータを使うことで、この分析速度が向上します。したがって、『生命と人工知能の間に共進化がみられるようにな る』と予測されているそうです。

 生命が、環境に選ばれる存在から、環境を選ぶ存在へ移り変わることを説明した本文を引用します。

遺伝子を中心に据えた進化論では、「自然選択」が進化を生み出す原理であり、環境に個体を選ばせることで、環境により適した遺伝子を子孫に残していったとされる。
進化がある程度進むと、生命は環境に選ばれる存在から環境を選ぶ存在へと進化し、そのために神経系を発達させ、移動や選択を可能にした。そして、進化がさらに進むと、自らを進化させるよりも逆に環境を都合よく進化させる方が、個体の生存により有利に働いた。


 つまり、人類が生物のトップになるために、自らの脳を進化させ、これからは、複雑系を理解するために、人工知能を進化させようとしているということですね。

3.社会を進化させる”共有の脳”

 20 世紀後半から始まった、コンピュータの発明による情報革命により、人間が行う暗記や計算などの労力は激減しました。しかしながら、大量な情報を機械と人間 の間に流通させることは困難であるため、コンピュータの中に脳が必要になったそうです。また、個人の頭の中にあるノウハウをコンピュータに移し、知識ネッ トワークを共同で構築することが、情報社会において、お互いの利益になると考えられています。

4.依存の表明

  『依存の表明』とは、共有された情報などの引用のことを意味していて、依存度合いが、その情報の重要性を測る指標になってきているそうです。また、依存価 値の高い共有情報は、多くの優秀な人間によって複製と改変と経済選択が継続されるため、生物の進化と似た現象がみられると説明されています。Google の検索で、上位にあるほど有用であるのと同じですね。このように、人間は実社会で活用するために、コンピュータ上にある情報を、改良しながら使っているこ とから、物質世界と情報世界のネットワークが共進化するようになったそうです。



































5.オミックススペース

 
 オミックスペースとは、オミックベクトルの集合空間であり、 オミックベクトルとは、オミックス研究により得られる網羅的なベクトルデータのことだそうです。では、ベクトルデータとは何でしょうか?『ベクトルデータ とは、点、線、面で構成される図形要素を座標値(XY座標)として管理しているデータ。』ということだそうです。オミックスペースは、理研ニュースの「図 1 オミックスペースの概念」が分かりやすいですね。

6.セマンティックウェブ

  セマンティックウェブとは、Webページの内容の意味がコンピュータに理解できるようにする構想のことです。この構想は、ワールドワイドウェブにおけるリ ンクには、コンピュータに可読な情報が含まれていないという問題から生まれたそうです。セマンティックウェブが実現すると、ネットワーク上の膨大なリソー ス間のリンクがコンピュータにより読み込まれます。これによって、従来人手で理解していたリンクがコンピュータで処理され、自由に取り出せるようになるそ うです。このように、コンピュータに可読な情報を付加するためには、Web上でコンピューターがデータ交換するのに適した文章記述言語が必要になります。 そこで、XML(Extensible Markup Language)やRDF(Resource Description Framework)という言語が開発されたそうです。ただし、ライフサイエンス分野においては、生理現象における因果関係が逐次報告されるため、個々の 因果関係を”現象の連鎖”として捉え直す必要がある(つまりリング情報を解釈し、並び替える必要がある)と説明されています。また、因果関係が分岐する場 合も考えられるので、ますます複雑になりそうです。


7.オントロジーと現象学

 オントロジーとは、哲学用語で「存在論」という意味ですが、知識表現の分野では『対象とする世界に存在するものごとの体系的な分類と、その関係を明示的・形式的に記述する』という意味で、用いられているそうです。
  現象学とは、『人間の意識の中に認識が確立されていく過程を分析する学問』だそうです。例えば、人とコミュニケーションしていて、認識の違いが発生した場 合、それぞれの判断のもとになった原体験を一緒に振り返り、両者の認識を一致させる方向に導くものです。前述のセマンティックウェブで問題となった、次々 と報告される個々の因果関係を”現象の連鎖”として捉え直すときに、現象学的還元が伴うそうです。
 では、現象学的還元とは何でしょうか?YagiYuki さんの『現象学Memo:現象学的還元とは? [フッサール現象学]』を引用してみます。

【経験思考の破棄】

我々の思考は経験の蓄積により様々な考えが既に織り込まれています。基本的に全ての人がこの織り込まれ、蓄積された考え(経験的確信、経験的理論)を基準にして物事を判断しています。しかし、「その前提から学問を哲学を出発して本当にいいのか?」ということが問題になる。我々はただ単に経験しているだけであり、経験から思考した場合、その前提となる経験的思考に問題があれば、そこからどこまで考えていってもその思考は全て問題となる。誤った出発点からは、誤った結論しか出てこない。

【元へ還る】

現象学的還元は文字通り、「現象学的に」「元へ還る」わけです。例えば、物が目の前にあるとしても、「物を見ているという意識が働いている」と「意識の働き」の元へ還るわけです。「元へ還る」には「働き」そのものへと目差しを向け変え(反省)、全てが起こっている働きの現場(超越論的主観)を直視し、それ以外の「客観構成されたもの」「蓄積された概念」を全て判断保留(エポケー)します。そうすると全ての事態(事象)はこの現場にあるというのが、よく考慮すると見えてくるはずです。

【意識の本質構造を解明する】

「世界」も「事物」も「他者」も、そして「私」も「私の存在」も、全て「○○についての意識」であり「私の意識の働きによる現れ」でしかない。ならば「意識の働きに還元できる」のであり「意識の働きの本質構造を解明すれば、全ては解かれうる」ということです。自然な態度では隠れている「意識の働き」と対峙するのが「現象学的還元(超越論的還元)」という態度変更であり、その還元により全ては、超越論的主観の世界として描かれ、どこまで客観性を高めようとそれは経験、間主観性としての確信の世界であることが顕わになる。

意識の働きを自我のベクトルのようなものだとすると、自然な態度では、我々はベクトルによって生み出された「結果」をそのまま(疑いなく)受けとっている。しかし、「結果」だけを見るのではなく、ベクトルがどういう風に働いてその結果が生み出されているのかを洞察する。「ベクトル-結果」という構図があるとすると、結果を「一切前提せず」、つまり世界や事物や私の身体や私や価値という「結果」を何も前提せず、ベクトルの方から洞察していき、その末にどう「世界や事物などの結果」が構成され、信憑されているかという構図を明らかにする。

 現象学的還元の詳細は、現時点で は理解できていません。しかし、「ある経験(既存の知見)に基づいて思考する前に、その経験の前提思考を辿れ」ということは、つまり、個々の因果関係の再 構築ということだと考えました。生命科学の情報整理には、この現象学的還元が容易に出来るシステム設計が必要なのだそうです。これを目指したのがSWF (Semantic Web Folders)で、ここではリンク自体もフォルダが設けられ、リンクにリンクを張る(メタリンクとでもいうのでしょうか?)ことも出来るようになるそう です。

8.ライフサイエンス統合データベース


 今後「理研総合データベース」をハブとして、SWFが作成され、これによって、複数の人々がウェブ上で多様なデータベースを共同構築し、セマンティックウェブで公開できるようになるそうです。

9.スーパーブレイン

  増加し続ける情報はデータベース化され、クローラーと呼ばれるデータ収集ロボットにより統合解析された後に、スーパーコンピュータによりネットワーク化さ れる。そのネットワークをスーパーブレインが判断して、人間にアウトプットされる。つまり情報の読み手が、人から機械に移り変わるため、機械可読な形式で 情報を発信することになるそうです。

【参考サイト】

2008年3月19日水曜日

エクセルのデータを見やすくする5つの簡単なテクニック


coliss:エクセルのデータを見やすくする5つの簡単なテクニック

  1. テーブルの横列・縦列をハイライト
  2. 条件付き書式を使用したガントチャート
  3. セル内に配置する棒グラフ
  4. ミスやエラー・データ欠落などのハイライト表示
  5. 直感的に把握できるデータテーブル
テーブルの横列・縦列をハイライトは便利です。
1. ハイライトにするテーブル全体を選択します。
2. メニューより、[書式] - [条件付き書式] を選択。
3. 「数式」を選択し、「=MOD(ROW(),2)=0」を入力します。
書式に「黄色いパターン」を選択し、「OK」ボタンをクリック。
4. これで、横列に交互に黄色のパターンで、ハイライトされます。
5. 縦列の場合は、「=MOD(COLUMN(),2)=1」を記述します。
ペーストすれば、簡単にできました。とても便利ですよ。

グローバルCOEセミナーレポートに掲載されました

3月9日に発表させて頂いた、セミナーについて、レポートを書いて頂きました。

グローバルCOEセミナーレポート

自分の発表した内容に関して、第三者からレポートされたのは初めての経験なので、とても嬉しく思いました。これからも、分かりやすく伝えられるよう努力していこうと思います。

【関連記事】

【参考サイト】
G-COE in silico medicine

2008年3月17日月曜日

フィジオームプロジェクトの課題

野村 泰伸: “フィジオームプロジェクトの課題”, 電学論C, Vol. 127, No. 10, pp.1491-1497 (2007) .
J-STAGEで詳しく見る

フィジオームプロジェクトの課題について、野村 秦伸 先生の論文を読みましたので、紹介します。

【目次】

1.はじめに
2.生体構造・機能のデータベース化
3.生体機能の数理モデル
4.数理モデルと生体・生理実験データ
5.知識集約と産業戦略
6.おわりに

【注目ポイント】

◆フィジオーム(Physiome)

 Physio; physiologyと、-ome; as a wholeをつなげた造語で、生体の生理機能の総体を意味する。

◆フィジオームプロジェクト

 「生理機能の計測・解析データのデータベース化、生理機能の統合記述的、論理的、定量的モデル開発に向けた各国の協調的努力を通じて、フィジオームとは何かを定義することである」

  つまり、「フィジオームとは何かをきちっと定義しよう」というのが、フィジオームプロジェクトですね。そこで、フィジオームを定義するために、まず、何を すべきかというと、膨大な生体生理機能情報を統合する方法を開発することです。このような方法を、戦略的に開発するためには、具体的な課題を通じて行うこ とが必要です。本論文には、3つの課題について提案されています。

1.生物学の情報を組織的に収集し、データベース化する方法を開発する
2.知識を集約する記述的・定量的モデルを構築し、知識の不足や矛盾点を洗い出す
3.特定の生理機能に焦点を絞り、統合生物学を研究する体制を世界レベルで組織化する

 また、フィジオームプロジェクトにおける2つのキーワードが紹介されています。それは、生理機能の「データベース化」と「数理モデル」です。

  一つ目の生理機能の「データベース化」とは、DNAの塩基配列や蛋白質の立体座標など”もの”の情報だけでなく、生体で起こっている生理機能、つまり”こ と”の情報も、データ化してデータベースを作ることを意味しているそうです。生理機能をデータ化するのは、現時点では難しそうですが、「それをどうやって 記述するか」というのも課題というわけですね。

 二つ目の「数理モデル」とは、生理現象を時系列的に発現する機能としてとらえ、定式化す るということを意味しているそうです。生理現象の多くは、力学系モデルで普遍的に記述することができるそうです。数学モデルは、積分することによって時間 軸のダイナミクスを観察することが可能になりますね。数学モデルは数式なので、データ化しています。つまり、生理機能のデータベース構築が実現できるとい うことですね。

 したがって、まず、データベース化が可能な形式で個別の生理現象を数理モデルで記述し、つぎに、それぞれの数理モデルを 対応づけることによって、複雑な生理現象の総体を構造化することが可能になるそうです。その結果、各個人の研究者は自分の興味ある生理現象について、数理 モデルをダウンロードし、数値パラメーターを調節して、独自のシミュレーションをすることも可能となります。

【参考文献】
(1)医学のあゆみ Vol. 205 No. 7 p.433 バーチャルヒューマン










(2)システムバイオロジー—生命をシステムとして理解する 北野 宏明
*このブログで詳しく見る

2008年3月16日日曜日

お祝いをいただきました

久しぶりに研究室のみなさんと飲み会を開きました。

普段、学生の皆さんが、飲み会のとりまとめをしてくれています。いろいろと準備は大変ですね。

それで、今回はこちらで準備して(といっても、お店の準備と連絡程度ですが・・・)みなさんに集まっていただきました。仕事が大変やとか、研究室がどうやとかと話題は尽きることなく、飲み会は大盛り上がりでした。やっぱり数年間一緒に研究することで、共有できるものが沢山あるからだろうなと思いながら、一緒に騒いでしまいました。

また、サプライズがありまして、学生のみなさんから、昇進お祝いプレゼントを頂いたことです。

つつみの中には、「プラネタリウムと一風変わった入浴剤とメモ帳」が入っていました。

プラネタリウムは早速試してみたところ、家族にも大好評でした。(特に子供が大はしゃぎ)
↓ これがそうです。ミニサイズです。


きれいな夜でした。心遣いに感謝いたします。ほんとうにありがとう。

2008年3月15日土曜日

理系のための口頭発表術

今回は、プレゼンテーションに関する書籍を紹介します。

  • 書名:理系のための口頭発表術
  • 著者:R.H.R. アンホルト (著), 鈴木 炎 (翻訳), I.S. リー (翻訳)
  • 発売日:2008/1/22
  • 項数:229ページ
  • ISBN:9784062575843
  • Amazon.co.jpで詳しく見る


本の概要は以下の通りです。
序論 どんなにすばらしい研究も、ダメ発表がダメ研究にする
第1章 いかに準備すべきか
第2章 「面白い話」の構造
第3章 視覚素材はこう使え(使うな)
第4章 「話し方」の技術

内容については、またポイントを挙げてご紹介します。一番面白いのは、プレゼンの態度を写真で説明しているところですね。参考になります。



【参考サイト】
マインドマップ的読書感想文:【スゴ本!】「理系のための口頭発表術」はかなりキテます!

【バックリンク】

● プレゼンテーションをするために注意したいこと

2008年3月9日日曜日

G-COEスプリングスクールに出席しました


淡路島の夢舞台でG-COEスプリングスクール(080308-09)が開催されました。

医・歯・薬・工学・情報・基礎工など、たくさんの先生方や学生の皆さんによる活発な議論が展開されました。普段まったく接点がない異分野の研究についても、分かりやすいお話が聴けました。また、多くの他分野の先生方と交流ができて、とても有意義なスクールでした。

↓入門セミナー発表中に取り上げたデータベースと参考文献などです。

G-COE spring 2008 database

ナイトディスカッションも盛り上がりました。少し睡眠不足です。(笑)



【バックリンク】

● グローバルCOEセミナーレポートに掲載されました

2008年3月2日日曜日

セミナーを受ける前に

セミナーが終わった後で、うまく頭の中が整理できなかったり、理解できなかったりすることがあります。そんなとき、「時間がもったいないな」「せっかく説明してもらったのに申し訳ないなあ」と思っていました。そんなとき、大橋 悦夫さんの、シゴタノのエントリを見つけ、「これだ!」と思ったので、紹介します。

シゴタノ: セミナーを受ける前後にやっておきたい3つの習慣 080222

無料のセミナーもありますが、有料・無料にかかわらず受講するからには「時間」という貴重なリソースを投下しているわけですから、何としてでも応分の“回収”はしておきたいものです。

そこでおすすめの習慣が次の3つです。

 1.受講前に、受講の目的を書き出す
 2.受講中に、受講後のタスクを書き出す
 3.受講後に、受講内容を人に話して聞かせる

『人に「教える」と、記憶の定着率は9倍高まる』という実験がなされたという話を思い出しましたので、合わせて紹介します。

【セミナーを受けた後の一週間で覚えていた割合】
*聞く:10%
*見る:15%
*話し合う:40%
*体験する:80%
*教える:90%
やっぱり、教えることが記憶の定着効率を上げることは確かなようです。

【引用書籍】

  • 書名:仕事が10倍速くなるすごい!法—誰でもできるのに、なかなか「実行」されていない
  • 著者:松本 幸夫 (著)
  • 発売日:2007
  • 項数:220ページ
  • ISBN:9784837922544
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

【バックリンク】

● どう質問したらいいのかという時に
● 何を質問したらいいのか?
● いい質問をするために気をつけるべきこと

2008年3月1日土曜日

奇麗な分かりやすいスライド

 これまでに様々な学会やセミナーに参加してきました。奇麗に作られた、分かりやすいスライドを使ったプレゼンテーションには、いつも感動させられます。たとえば、理研の上田先生のプレゼンテーションには、内容はもちろん、その語り方にも、魅了されます。尊敬する先生のひとりです。

 私自身も、常に「うまく伝えるにはどうしたらいいのか?」を考えるようにしています。今回は、奇麗なスライドテンプレートをフリーでダウンロードできるサイト(PresentationPoint )を見つけましたので、ご紹介します。

PresentationPoint | Free PowerPoint templates to download


【関連書籍】
(1)
戦略的プレゼンテーションの技術—オープンな意思決定のために
八幡 紕芦史

見開きで一テーマを図解入りで説明してくれているので、分かりやすいです。










(2)
速プレ—カリスマがこっそり教える企画&プレゼン30の極意
竹島 慎一郎

プレゼンを成功させるノウハウが詰まっていて、参考になります。