2010年4月20日火曜日

総説を書くときのチェックリスト

総説の書き方のポイントをまとめました。

□ 包括的な内容で、多数の論文を要約する。
□ 刊行された論文を厳密に評価し、個々の論文からは得られない大局的で重要な結論を含める。
□ 研究論文より幅広く読まれるため読者層を想定する。
□ 解説的な文章を書く。
□ 深く、明確な考察に裏付けられた批評を展開しながら、自らの理論を体系的に構築する。
□ アウトラインを作成し、情報・議論を一貫させる。
□ 広く認められている論文のうち、著者の見解を指示するもの、指示しないものを熟知する。
□ 著者の見解と一致しない論文は、見解の不一致について考察する。



2010年3月29日月曜日

事業推進会議に参加して

さまざまな研究科から教授など20名程度が参加されました。

議題はプロジェクトの進捗状況の報告や今後の事業計画について話し合われました。

研究の具体的な目標設定および事業計画の達成項目の検討と、参画教員のエフォート状況把握が議論のポイントとなりました。

そこでプロジェクトリーダーが、まず具体的な目標値や課題を明示して、それらに対して個別の教員に依頼していました。

やはり、物事を達成するときには具体案を提示しておいて、それを元に分担者で叩き上げていく必要があると感じました。

他部局との連携の上でのプロジェクト進行は運営が非常に大変です。

したがって、効率的な事業運営が必要不可欠となります。

私が所属するセンターは、問題解決能力が高く、非常に行動が早い先生方が参画されています。

このような会議に出席し、議事録をとることは、一教員としてとても勉強になります。

2010年3月18日木曜日

バイオサイエンスの統計学









20年前に出版された本です。

図解されているのでとてもわかりやすいです。特に、相関と回帰は参考になりました。



【目次】

序説 統計学とは
  統計学はばらつきを伴う情報を、客観的に分析、評価する学問
  統計学の2つの機能
1 検定の原理
  検定法の共通原理
  身近な例にみる検定法の原理
2 関連する2群の差の検定
   一標本t検定
   符号検定
   Wilcoxon検定
3 独立2群の差の検定
   二標本t検定
   正規検定
   等分散の検定:F検定
   Mann-Whitney検定
4 計数値データの検定
  1要因の場合
   比率の検定
  2要因の場合
   2×2分割表
   l×m分割表
5 独立多群の差の検定
   一元配置分散分析法
   分散の均一性の検定:Bartlett検定
   Kruskal-Wallis検定
6 関連多群の差の検定
   二元配置分散分析法
   Friedman検定
7 回帰と相関
  回帰直線の求め方とその検定
   直線回帰
   回帰係数の検定
   回帰係数の差の検定
  相関の求め方とその検定
   相関係数(ピアソンの相関係数)
   相関係数の差の検定
   マハラノビス距離と等確率楕円
  
8 標本の分布型とその検定法
   分布型の検定
   スミルノフの棄却検定

9 統計の正しい利用と解釈
  標本の偏り
  データの表現法
  検定法の使い分け
  検定結果の解釈

付録・統計数値表


バイオサイエンスの統計学—正しく活用するための実践理論

2010年3月9日火曜日

今日買った論文執筆本

■ 世界に通じる科学英語論文の書き方 執筆・投稿・査読・発表


論文の書き方、発表の仕方、レビューの書き方、CVの書き方など幅広い項目について説明されています。

ベストセラーのようですね。

2010年3月8日月曜日

生化学実験とムダの話

今日は、東京都健康長寿医療センター研究所、研究部長の遠藤玉夫先生の記事をご紹介します。

私も論文にならない沢山の実験をするタイプです。この文章を読んで、背中を押された感じがしました。


 さて生化学実験とムダの話である。私も若い頃徹夜実験を組み、朝結果を得てムダな実験だった、と何度思ったことであろうか。また、学生同士や助手の先生と話しをして、そんなのやってもムダだ、と言われながら、ムダと思いつつ行なった記憶も多々ある。しかしこれはムダと呼ぶべきものではなく、確かにこういうことはない、ということを実証したと考えるべきではないだろうか。これまで自分は、好奇心を持って好きなことに挑戦し続けてきた。その間には相当ムダな実験も行なって来た。これは単に自分の頭が悪いだけで、実験をやってみなければ分からなかっただけのことかも知れない。確かに論文に実際使用したデータに関する実験だけをやれば最短で結論に達することができたはずである。しかし、出発点から目的地まで地面を歩く時、足跡だけの地面があれば歩くことが可能だろうか。おそらく答えは「否」である。「こういうことではない」という結果を自らの手で得ることこそ研究者にとって大変大事なことである。傍らから見ると一見ムダに見えるかもしれないが、若い皆さんには勇気をもってムダな実験を行なってほしい(指導教官にとっては金銭的に大変辛いだろうが)。

生化学 第82巻 第1号 p. 1 2010


『出発点から目的地まで地面を歩く時、足跡だけの地面があれば歩くことが可能だろうか。おそらく答えは「否」である。』

がとても共感できる一文でした。

河原の水面に見えている石の上を歩いて渡るような状況です。

私にとって、ムダだった実験は、うまくいかないことを証明すると同時に、集中力や技術の鍛錬になったことは間違いありません。

その一方で、声高に「ムダな実験はするな」とおっしゃる方がいるのも事実ですが…。

2010年3月4日木曜日

プログラムの論理

人に伝わらないときは、自分の言葉、伝え方を省みるとよいかもしれません。


プログラムを書かれている方は、生物学者より論理的な方が多いように思います。


プログラムというのは、純然たる、純粋なロジックなので、矛盾がひとつでもあったら、そのシステムはちゃんと動かないんですね。だから、システムが動かないとしたら、それは明らかに自分のせいなんですよ。私は人と人とのコミュニケーションにおいても、うまく伝わらなかったらその人を責めずに自分の側に原因を探すんです。

それはきっと、プログラムをやっていたおかげですね。


ほぼ日手帳2009 Spring 3月4日
岩田 聡『任天堂の岩田社長が遊びにきたので…』

2010年2月8日月曜日

大学生の文章力の低下

 立松教授によると、山形大では最近5~6年で、答案やリポートに話し言葉を使ってしまう学生が目立つようになった。立松教授は「早急に学生のレベルを底上げする必要を感じた。できる学生とそうでない学生に開きがある」と危機感を抱いている。

 セミナー週1回90分にわたって「主語と述語、修飾語と被修飾語は近づける」「話し言葉を持ち込まない」など初歩的な作文方法などを解説。リポートやディベート、情報収集の方法についても図で説明する。



文章力を向上させる一つのコツについて、久保博正さんはこう述べられています。

気に入った表現や言葉をメモしたり、模範となる文章のマネをして書いてみるのが近道なのです。(p. 48)



意識して訓練すれば、文章力はきっと伸びると思います。

2010年2月6日土曜日

Microsoft、科学研究者に「Windows Azure」への無償アクセスを提供

 米Microsoftは米国時間2010年2月4日、全米科学財団(NSF)と提携を結び、研究者個人およびチームにクラウド・コンピューティング・プ ラットフォーム「Windows Azure」への無償アクセスを提供すると発表した。研究者が豊富で多種多様なデータを大規模に活用できるよう支援するとしている。



Windows Azureとは…

 Windows Azure Platformは、アプリケーションをホスティングするクラウドOS「Windows Azure」、クラウド向けデータベース「SQL Azure Database」、Windows ServerとWindows Azureの双方向け.NETアプリケーションの開発を助ける技術「AppFabric」などで構成される。AppFabricは、アプリケーションサーバ機能「Dublin」(コードネーム)、分散型キャッシュプラットフォーム「Velocity」(コードネーム)、「AppFabric Service Bus」、「AppFabric Access Control」(「.NET Services」と呼ばれていた)で構成される。

Microsoft、「Windows Azure」リリース
|ITmedia エンタープライズ

2010年2月2日火曜日

今日買ったプレゼンテーションの本

論文・プレゼンの科学 河田 聡 2010

プレゼンやレポートは、才能ではありません、論文やプレゼンは「文学」ではありません。語学とは努力ではありません。簡単な公理に基づいた「科学です」それを誰も教えてくれなかったから、いま苦手に感じるだけです。


プレゼンテーションzen Garr Reynolds 2009

もっと明快に、誠実に、美しく、知的な方法でコミュニケーションを取りたいのなら、「普通」のやり方を捨てて、それよりもはるかに効果的な別の手法を取り入れるべきだ。プレゼンテーションの各ステップを通じて、私が最も留意しているのは、「抑制」「シンプル」「自然さ」という3つの方針である。

2010年1月26日火曜日

科学英語のセンスを磨く

certainlyとperhapsの可能性の確率の違い

「〜に関するデータ」と記述したいときどの前置詞を使うか

「AばかりでなくBも」はas well as が良く用いられる

といった、ネイティブでない我々にはわからない英語論文における微妙なニュアンスを調べることができます。

■ 鈴木 英次 科学英語のセンスを磨く―オリジナルペーパーに見られる表現

■ 鈴木 英次 科学英語のセンスを磨く 第2版―オリジナルペーパーに見られる表現
最近、第2版が出ています。


【目次】

第1章 確率で表す可能性の助動詞の使い方

 可能性を表す助動詞の使い分け
 可能性の can と能力の can の違い
 そのほかの助動詞の使い方

第2章 確率で表す副詞の使い方

 可能性を表す副詞・副詞句
 “It is likely that …”の構文
 “Be 動詞+likely to 不定詞”の構文
 そのほかの可能性の表現
 接続副詞の位置
 文修副詞の位置
 形容詞を修飾する副詞
 動詞をを修飾する副詞
 動詞をを修飾するときの副詞の位置

第3章 確率で表す監視の使い方

 わかりにくい冠詞の使い方— of で限定される名詞
 定冠詞のつきやすい形容詞
 定冠詞のつきにくい形容詞
 定冠詞のつきやすい名詞
 定冠詞のつきにくい名詞
 数量の表現と冠詞
 種類・程度・数量・欠如の表現と冠詞

第4章 論文でよく使われる熟語

 学問分野に合わせた熟語の使い方
 複数の意味を持つ熟語の使い分け

第5章 根拠・原因・理由の重要表現

 考察・推論に必要な根拠・原因・理由の表現
 原因・根拠の表現と can の関係

第6章 覚えておきたい前置詞の使い方

 報告・情報・データ・根拠に連係する前置詞
 研究・調査研究・戦略・方法に連係する前置詞
 証拠・機構に連係する前置詞
 「目的」と「結果」を表す to 不定詞の用法
 動詞・名詞・形容詞と連係する to
 In の基本的な使い方
 “名詞+in”と“名詞+of”の表現の違い
 “動詞+from”と“動詞+by”の用法の違い

第7章 覚えておきたい形容詞の使い方

 敏感・影響・安定の表現
 同等・等価・同一の表現
 一致・不一致の表現
 類似・匹敵・近隣の表現
 原因・必要・十分・特異・利用・有用の表現
 示唆・特徴・ない・無関係の表現
 「欠けている」「〜がない」の表現
 「効果的な」の表現
 副詞より形容詞が使われる too 〜 to 不定詞の用法

第8章 形式主語Itを用いる重要表現

 It〜that の用法
 It〜to 不定詞の用法

第9章 名詞型の選択および動詞と名詞の使い分け

 主語にする「名詞型」
 動詞優先型の動詞
 名詞優先型の名詞

第10章 注意すべき代名詞の使い方

 論文中でルールは厳密に守られているか
 人称代名詞と we の表現
 Our が名詞句となる表現方法

第11章 覚えておきたい程度・数・量の表現

 程度・数・量を表す形容詞
 程度・数・量を強調する副詞
 比較級を強調する副詞
 論文では使われない数・量の熟語表現
 論文でよく使われる数・量の熟語表現
 「ほとんど」「およそ」の表現
 「約」「おおよそ」の使い分け

第12章 注意すべき動詞の使い方

 Report と describe の用法
 Be 動詞+able to 不定詞の構文
 Perform, carry out の用法
 Examine, investigate, test の用法
 Attempt, tryの用法
 Be 動詞+to 不定詞の構文
 Appear のおもな用法
 Seem のおもな用法
 Proved のおもな用法
 Use のおもな用法と連係する表現
 Expectのおもな用法と関連する表現
 Do+名詞およびmake+名詞の用法
 似ている establish と confirm の用法
 Suggest のおもな用法
 動詞が that 節を目的語とする割合
 形容詞的用法の過去分詞の位置

第13章 注意すべき否定表現

 「人は〜できない」の表現
 失敗したときの表現
 Little のいろいろな用法
 強い否定表現の微妙な違い
 No longer, no further, no more の用法
 Without, unless, unlikeの用法
 That 節を目的語とする複文の否定
 使われない否定表現
 None, neither, either の用法
 「同等ではない」の表現
 Appear to 不定詞,seem to 不定詞の否定表現
 But, and を含む否定文

第14章 注意すべき接続詞の使い方

 「よりむしろ」「よりほかの」の表現
 Whether…or, neither…nor, either…or の表現
 接続詞thatの用法
 「〜のかぎりは」の表現
 「するとすぐに」の表現
 「けれども」「であるが」「ところが」「たとえ〜だとしても」の表現
 「〜してすぐ」「さらにまた」の表現
 目的,結果,程度の表現
 「〜のような」「〜のようなもの」の表現
 As shown+副詞の表現
 As+過去分詞の表現
 Asに連係する表現
 The same as の用法

第15章 好ましい表現と好ましくない表現

 好ましくない冗長な表現
 1語で表すほうがよい表現
 簡潔な程度・数・量の表現

2010年1月21日木曜日

使える議事録のチェックリスト

議事録の書き方』がよく読まれている記事なので、今日は誠Biz.IDより活用できる議事録にするためのチェックリストを紹介します。



特に重要なのが、「誰が、なのを、いつ、どのように」です。決められた締切と担当者を明記しておくことで、後から進捗状況が確認できるようになります。これがないと、いつまでたっても対応できません。

【参考記事】

* 議事録の書き方

2010年1月15日金曜日

AllChemy


AllChemyについて


スクリーニング用化合物の販売のおいて重要なのは、多くの種類の化合物が安定的に入手できることです。 我々は、化合物の製造をすべて国内で行うことにより、高品質な化合物を安定的、かつ即時にご提供しております。

*詳細
http://www.all-chemy.com/html/about/

2010年1月12日火曜日

文章を直してもらうときのちょっとした心構え

この気くばりが出来れば、文章校正のやりとりにおける上司との衝突が避けられます。

学位論文や文章を確認してもらう立場の方は、以下のことをぜひ心に留めて頂ければと思いました。

next49さんの『発声練習』というブログから引用します。

複数人に同時に論文指導を受けているとき、何人かから同じことを指摘されることがあると思う。で、既に別の人に指摘されているので「あっ、それ**さんにも、指摘されました」と思わず言ってしまうことがあると思うが、それは言ってもメリットがないので言うのを我慢すること。

理由は以下のとおり。

1. 「あっ、それ**さんにも、指摘されました」には、無意識に「それはもう知っているので説明を止めてください」が含まれてしまう。コミュニケーションにおいて「それは知っている」というのは会話を止めるマジックワード。

2. 「あっ、それ**さんにも、指摘されました」と言うことによって、「ああ、じゃあ、そこは飛ばすね」とその部分の説明を省かれる可能性がある。同じ箇所の指摘だけれども、指摘している理由が違うかも知れないのでちゃんと説明してもらったほうが得。




冷静になって、何のために見てもらっているのかを考えれば、この対応に納得できるはずです。

特に論文の校正は時間と労力が費やされるので、見てもらう側が見る側の立場にたって考えることが出来れば、お互いより充実した時間を共有できます。

また逆に、見る側も見てもらう側の立場を考える必要もあります。それについてはまた今度。

2010年1月7日木曜日

ChemCupid



ChemCupidは日本初のWeb版化合物検索データベースです。

シンプルな操作により、お探しの化合物(HTS化合物、Building Blocks、試薬など)を簡単に見つけることが出来ます。


*詳細

http://www.namiki-s.co.jp/chemcupid/

2010年1月4日月曜日

日本は「科学のリーダー」育てよ

英語に「candor」という言葉があります。虚心坦懐といった意味です。先入観を持たないということ。日本に欠けている点ではないでしょうか。「この研究者はどの先生の弟子か」「どこから来た人か」とか、そういう話になりがちです。

 米国が世界中の知性を引きつけてきたのは、「彼はどこの出身だ」というような先入観をもって見ないことも理由の1つだ思います。アジアの人たちが日本より米国に向かうのにはそうした背景もあるのではないでしょうか。

 科学を研究する人間は、リーダーとフォロワーに分けられます。リーダーとは「何が重要なのか」「どこが新しい分野か」を理解して目標を設定する。その目標に対して自分の創造性を発揮して新しいことをやろうとする人。フォロワーはリーダーに協力して研究を進める人たちです。

 もちろん、多くの人が協力しないと応用的な研究はできませんからフォロワーの役割も重要です。しかし、評価し、評価されるという環境を欠く今までのようなやり方だと、リーダー格の人間はなかなか育ちません。



科学の発展には、戦略的な人材育成が必要です。