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2009年1月21日水曜日

女性研究者の活躍への期待の高まり



臨床医工学・情報学領域関西5大学連携事業主催の『第1回 理系女性人材育成シンポジウム 〜理系女性が社会で活躍するために〜』に参加してきました。

武庫川女子大学付属のスーパーサイエンスハイスクールの高校生から、大学教員まで100名近くの方々が集まられていました。会場では活発な議論が展開され、女性研究者への期待の大きさが感じられました。

本シンポジウムは、女性研究者の活躍に焦点を当てて開催されましたが、男性研究者やこれから就職を考えている学生の皆さんにとっても非常に有意義な内容でした。聴講内容をまとめておきます。


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第1部
開会挨拶:福尾 惠介(武庫川女子大学 教授)
挨  拶:糸魚川直祐(武庫川女子大学 学長)
講  演:福尾 惠介(武庫川女子大学 教授)
「5大学連携支援事業における理系女性人材育成の目標設定」
講  演:北川 英基(武庫川女子大学附属中学校・高等学校 教諭、SSH推進委員会 委員長)
「女子校のスーパーサイエンスハイスクールから見えた理系女性人材の育成」
特別講演:辻  篤子 (朝日新聞 論説委員)
「理系女性に期待すること」

第2部
特別講演:渡辺 威郎
(大阪薬科大学 キャリアサポート課長、前塩野義製薬株式会社 理事)
「理系女性が社会で輝くために」
特別講演:高須恵美子(株式会社 資生堂 ビューティーソリューション開発センター センター長)
「理系分野の女性が企業で活躍するためには」
講  演:浜田  仁(オムロンヘルスケア株式会社 商品事業統轄部 事業推進部 マネージャ)
「健康医療機器分野の企業で求められる人材」
講  演:赤羽 悟美(東邦大学 准教授)
「大学において女性研究者・教育者として活躍するために」

第3部
講  演:中村 稚加(株式会社 新日本科学 薬物代謝分析センター 試験推進部 代謝研究グループ グループリーダー)
「医薬品開発受託研究機関における業務について」
講  演:尾嵜  文(和歌山県立医科大学附属病院 管理栄養士)
「医療現場において求められていること」
講  演:大安 裕美(大阪大学 特任講師(常勤))
「大学で臨床医工学・情報学分野の研究者として働くということ」
閉会挨拶:石田 寿昌(大阪薬科大学 教授)


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【理系女性が社会で輝くために 大阪薬科大学 渡辺 威郎 先生】

◆製薬会社で活躍する女性の3つの特徴

 1.専門性を極め、それを活用している。
 2.文系知識を身につけている。
 3.プラス思考で積極的である。

◆文系知識を身につけて活用する

 ・マーケティング理論、分析技術
 ・経営状態の的確な把握
 ・著作権の知識

◆表現力の増強

 ・語学力
 ・ITスキル
 ・表現力(プレゼン・文章力)

◆大阪薬科大学におけるキャリアサポートの例

学部1年生:自己理解
学部2年生:コミュニケーション
学部3年生:プレゼン
学部4年生:問題解決解決能力
学部5年生:インターンシップ

渡辺 威郎 先生は、理系研究者は文系分野の知識も習得して活用する必要があることを協調されていました。中松 義郎 先生のおっしゃるブンジニアを思い出しました。


【理系分野の女性が企業で活躍するためには 株式会社 資生堂 高須 恵美子 氏】

資生堂では、社員の9割は女性なのだそうです。「女性の能力を活用出来ないということは人材を無駄にしているということだ」という高須さんの言葉に共感しました。優秀な女性が結婚や出産で会社を辞めることは、会社にとっても社員にとってもマイナスですね。そこで、資生堂ではこれまで継続的に女性社員の支援策を検討し、施行してきているそうです。

例えば、wiwiwというインターネットを利用した育児情報や職場復帰のための情報提供システムや男性社員の育児参加支援制度など女性にとって非常に働きやすい職場環境であることが伺えました。さらに、2013年までに女性リーダーの比率を30%まで引き上げることによって、グループのメンバーとしてだけでなく、リーダーとしてグループを引っ張っていくことの出来る女性人材の育成にも積極的に取り組んでいるとのことでした。

ここで、高須さんが強調していたことが、これらの女性支援の取り組みは決して女性優遇処置ではないということ。女性優遇処置に陥ると、男女差別になってしまう上に、女性社員もそれを望んでいるわけではないと高須さんはおっしゃていました。このように、資生堂で施行されている数々の制度は、女性の視点から検討されてきているので、非常に良いシステムとなっているのでしょうね。

では、このような制度の検討や施行はどのように推進しているのでしょうか?それについても、高須さんは以下の3つポイントを挙げて説明されていました。

  1.明確な目標と行動計画を立てて、PDCA*を回す。

  2.推進体制を構築する。

  3.推進のキーパーソンが必要である。

(*PDCA: Plan Do Check Act 計画、実行、評価、改善を繰り返し、継続的に業務の改善活動を推進するマネジメント手法。)

このように様々な制度の説明を聞きながら、制度を整備するとともに、これまで男性に偏りすぎていた社会の仕組みを、女性が共に働けるような仕組みへと根本的に変えていく必要があると思いました。

◆男女がともにキャリアアップ出来る職場まで

 1↓女性は出産後退職
 2↓女性も子育てと仕事を両立
 3↓男女ともに子育てしつつキャリアアップ

資生堂では、第二段階から第三段階に向かって制度を整えているそうです。

講演の後半では、ご自身の経験を交えて女性のためのキャリア開発のポイントを挙げられていました。

 <武器>
  女性の視点、論理的思考

 <仕事と育児>
  60%くらいを目指すのがコツ 

 <必須事項>
  グローバルコミュニケーション
  石の上にも三年
 
 <進路>
  *マネジメント系
   得意分野と幅広い経験
   経営・経済・リーダーシップ・人間関係

  *スペシャリスト系
   知識を知恵に
   改善・改革


【健康医療機器分野の企業で求められる人材 オムロンヘルスケア株式会社 浜田 仁 氏】

講演の前半では、理系研究者の持つ論理性の特性について興味深い考察をされていました。一般的に、理系研究者は論理思考が優れていますが、それがデメリットともなる場合があるそうです。例えば、手を動かす前に論理的に結果をネガティブに予測してしまうということです。予測はネガティブでも、実際にやってみたらそうではない場合もありますね。浜田さんは「風が吹けば、桶屋が儲かる」という話を例えに、私たちが見落としがちな“確率の落とし穴”を指摘されていました。

さらに、研究者は論理性とともに、感性を持ち合わせて専門性を極めるべきであると浜田さんは主張されていました。


上の図は、仕事をするために求められる能力についてまとめられたものです。知識や技能が基礎にあり、問題解決能力・対人折衝力・実行力を開発する必要があります。さらに、人間力のあるということが重要なのだそうです。リーダーシップにも必要なことですね。

後半では、企業への就職を希望する学生の方々に向けて、『企業で働くための心構え』についてもお話しされました。

1.学生時代に専門領域を極めることも大切

 ただし、それだけでいいという仕事も企業にはない。自分のやれることを限定せず、柔軟に考えると良い。自分のやりたいことの本質を持っていれば、許容出来る仕事の幅は広がるものである。


2.給料をもらうということはプロであるということ

 能力を常に磨くこと。人間性を高め成長していくのが本当のプロ。奇麗にはいかない。成長は苦しいものである。

◆機器分野で求められる人材

 ・ものを作るのが好き
 ・好奇心旺盛
 ・機器を使う立場に立てること

オムロン社の皆さんはちょっと気になる物があればすぐに分解して調べてしまうくらい好奇心旺盛な方が多いのだそうです。


【大学において女性研究者・教育者として活躍するために 東邦大学 赤羽 悟美 先生】


赤羽先生の教員になったきっかけ、留学、研究室の運営についてお話しされました。講演の後半に紹介されていた先生の研究生活におけるモットーをまとめておきます。

*よく学べ、よく遊べ
 やるべきことをすると同時に、興味のあることもやるようにすること。これによって人間性や思考の幅が広がる。

*失敗から学べ

*挫折は宝物
 仮説と異なる結果を得たとしても、熟考すること。考えることで、次に繋がる。


【医薬品開発受託研究機関における業務について 株式会社 新日本科学 中村 稚加 氏】

◆仕事に必要な2つのスキル

・ジョブスキル‥‥業務を通じて身に付く技術や知識(時間に応じて身に付く)

・ワークスキル‥‥先見力、洞察力、コミュニケーション力、判断力、統率力(積極的に意識しないと身に付かない)

*入社後すぐにやめてしまう新人社員の特徴

受動的な姿勢が抜けていないため、積極的に仕事を憶えることができない。

中村先生は、スライドごとにまとめられた手書きメモを確認しながら、ゆっくりとした口調で話されていてとても分かりやすいプレゼンテーションでした。


【大学で臨床医工学・情報学分野の研究者として働くということ 大阪大学 大安 裕美 先生】

大安先生は医歯薬系と理工系の融合研究の必要性と女性研究者の参画について講演されました。医歯薬系のニーズと、理工系の知識や技術を組み合わせることによって融合的な研究を推進することが可能なのだそうです。このような融合分野では女性研究者の柔軟な思考や対応力が生きるのだそうです。


【関連記事】

● 【研究本】ドクター・中松の発明ノート
 「ブンジニアのすすめ」とは、文系と理系を両方学ぶべきであるという中松博士の主張です。

● 【研究本】技術者・研究者になるために
 これから研究者を目指す方におすすめです。



【参考サイト】

* 関西5大学連携事業が本格始動—。理系分野で活躍する女性育成について考えるシンポジウムが本学で開催されました。|武庫川女子大学


* 一般社団法人 コンソーシアム関西

2008年9月3日水曜日

理研のシンポジウムに参加しました


公開シンポジウムと討論会
「細胞・発生研究への数理科学的アプローチ〜先端研究から探るアクションプラン」

1.概要

日時
9月2日(火) 10:00−18:50
9月3日(水)  9:00−17:00

場所
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
C棟1階オーディトリアム(定員140名、日本語、事前登録)

主催
独立行政法人理化学研究所

2.本シンポジウムのねらい

本シンポジウム(主催、理化学研究所)は、「細胞・組織スケール」でのライフサイエンス研究における次世代の研究の方向性を探る目的で、特に複雑な生命現象を多次元・多階層で理解するために不可欠な数理科学との融合に焦点を当てて行うものです。

分子生物学・細胞生物学などの研究進展により、この十年間でライフサイエンス分野の研究は大きく前進いたしました。ゲノム研究、幹細胞研究、脳科学研究など重点的に推進された研究からは、特に多くの新たな知見が次々と生み出され、まさに日進月歩の目覚ましい進歩を見て取ることができます。

こうした研究は生命現象の基礎となる要素(エレメント)に関しての大量の情報を生み出してきました。一方で、次のレベルの生命科学の発展には、如何にこれらの多数の要素がシステム化され、複雑な生命現象自体を引き起こすのか、という問いに挑むことが不可欠となってきています。こうしたなか、遺伝子そのものを扱うゲノムインフォーマティクスや、タンパクの分子レベルの挙動を研究するタンパク構造科学や分子動力学などは、いち早く数理科学・計算科学との融合を進めて来ています。

これに比して、細胞生物学や発生生物学などの「細胞・組織スケール」の研究では、これまで数理科学・計算科学との接点が比較的限られたテーマに留まる傾向がありました。
それは、

1. 分子動力学などと異なり、「基本方程式」が存在せず、model-based approachに加えて、data-drivenの考え方を併用する必要があること
2. 従来のゲノムインフォーマティクスと異なり、細胞・組織スケール研究の対象では、多数の要素について質的な取扱いがヘテロであり、また多階層にまたぐことが多い

を始めとするいくつかの本質的な問題点が存在したことにも起因します。

しかし、「細胞・組織スケール」は細胞生物学や発生生物学に限らず、多くの生物・医学研究(ガン、脳、免疫その他)にも共通した生命現象の基本単位を対象とする研究であり、また現在最も爆発的に研究が進展している生命スケールでもあります。

このシンポジウムでは、実験(ウェット)、理論(モデル)、計測・摂動の3つの観点から専門家の先生方にお集まりいただき、「細胞・組織スケール」を中心とした細胞・発生研究と数理研究の融合を目指した最前線の研究をご紹介していただきます。

また、理化学研究所では、次世代スーパーコンピューター(ペタコン)の設置を神戸市ポートアイランドに進めており、2012年度末に完成を予定しております(初期稼働は2011年度末)。これに伴い、生命科学分野での次世代計算機利用の戦略を積極的に計画しております。そうした取り組みや研究開発のご紹介を併せて行います。

「細胞・組織スケール」での数理科学とウェット研究の融合による強力な研究推進体制のあり方について、専門家の先生方と参加者による自由な討論セッションを2日目の午後に計画しております。生命現象の統合的な理解を進めるために解決する必要のある「ギャップ」を、多面的に討論し、次世代研究へのアクションプランにつなげることを期待しております。

幅広い専門性をもたれた研究開発者の皆様のご参加をお持ちしております。

プログラム(敬称略)

1日目 9月2日(火)

茅 幸二   開会のご挨拶
笹井 芳樹  Introduction

Session I  Data-driven approachを中心に

大浪 修一  初期胚の構造と形態のダイナミクスに対する定量的計算科学的アプローチ
澤井 哲   細胞と細胞集団の自己組織化
三浦 岳   発生における自発的パターン形成 : Toy model と定量

松本 健郎  細胞・発生研究へのバイオメカニクス的アプローチ
小椋 利彦  Epigenetic morphogen としての力学的、機械的刺激
竹内 昌治  マイクロ流路デバイスを利用した先端計測

Session II  Model-based approachを中心に

近藤 滋   Turing の先には何がある?
本多 久夫  形態形成研究のための3次元細胞モデル
安達 泰治  生体組織・細胞力学構造の機能的適応:システムバイオメカニクス

柴田 達夫  細胞スケールの自己組織化現象:イメージ・データ解析と数理モデル
森下 喜弘  形態形成過程を理解するために必要な理論とは?
      —脊椎動物の肢芽形成・伸張過程を例に—
望月 敦史  生物学的に有意義な理論を目指して


2日目 9月3日(水)

Session III  計測・摂動技術のcutting edge

上田 泰己  定量的な計測・摂動および設計による生命システムの理解
寺北 明久  ロドプシン類のシグナル伝達の多様性と生命システムの制御への応用の可能性
徳永 万喜洋 分子1個と細胞システム

斎藤 通紀  単一細胞マイクロアレイ法:応用、発展、課題
佐甲 靖志  細胞内反応の1分子測定
神崎 亮平  分析と統合による昆虫の適応能の理解と活用

Session VI  次世代計算機機構と生命科学分野への応用:理研の取り組みと研究例

姫野 龍太郎 次世代スーパーコンピュータ開発と生命科学でのグランドチャレンジ
横田 秀夫  シミュレーションのための細胞の数値化と情報処理に関する取り組み
姫野 龍太郎 組織モデリングへの挑戦 〜血管形状決定のメカニズムの解明に挑む〜

討論テーマ1 

討論テーマ2

アクションプランの総合討論


【感想】

まずはじめに、活発で自由な討論と建設的な提案をするようにとのアナウンスがありました。2日にわたる公開シンポジウム中は、ほんとうに活発な議論が交わされていました。

また、各発表の後には提言のコーナーが設けられ、今後の研究の方向性・連携体制・10年後を見据えた長期的目標・人材育成などについて個々の発表者の先生方がコメントされていました。

2日目にはそれらの提言に基づいたフリーディスカッション(オープンブレインストーミング)が展開され、多くの先生方から熱心なコメントが出されていました。事務局側のナビのもと発散した議論はだんだん収束し、提案された事柄はテキストとしてまとめあげられ、その様子がリアルタイムでプロジェクタに移し出されていました。

理研の行動力と決断力に基づいた発展性が垣間見えました。

  ・30年先までを見据えた研究目標の設定
  ・ウェットとドライ、実験と理論、データと数理モデルをいかに結びつけるか
  ・多領域横断型研究推進の仕組み作り
  ・具体的な技術開発の提案(スパコンの利用も含め)
  ・人材育成

などについて非常に充実した討論が繰り広げられました。私の所属部局もうまく連携できると大きな研究の輪になるな、なんて思いながらメモをとりました。(議事録マインドマップです↓)



【関連サイト】

* 公開シンポジウムと討論会|理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)
* 次世代スーパーコンピュータのシステム構成を決定|独立行政法人 理化学研究所プレスリリース
* 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)

2008年8月23日土曜日

第20回 高遠シンポジウムに参加しました



今年も高遠シンポジウムに参加してきました。片道5時間の長旅ですが、伊那市の景色をみると毎年来てよかったと思います。今年で高遠シンポジウムも20周年になるそうです。毎年参加者に配られるTシャツには、新井 賢一 先生の書が入っていました。かっこ良いですね。


水島 昇 先生と村田 茂穂 先生は、オートファジーとプロテアソームによる蛋白質分解について、それぞれ講演されました。受精時・出生時・絶食時におけるオートファジーの活性化の意義や分子メカニズム、プロテアソームを構成する7つのサブユニットのアッセンブリー機構の解析と、サブユニット変換によるプロテアソーム機能の変化など蛋白質分解の最新データを紹介して頂きました。

また、村田 茂穂 先生がプロテアソームのリング形成におけるサブユニットが会合する順番を綺麗に同定されたデータを示してから、「私は、これが見れるだけで幸せなんです。」と言いながら生理的意義を付け加えられていたのが印象的でした。美しい科学を追究する研究者の姿を垣間みることができました。

白髭 克彦 先生には、コヒーシンとインシュレーターのゲノム上の協同的なダイナミクスについてChIP-chipデータをご紹介いただきました。クロマチン免疫沈降とマイクロアレイの進歩により、DNA上の特定の位置にどのような因子が結合しているのか、ヒストン修飾の状態はどのようなものかが、空間的に非常に高い分解能で観察することができるようになってきたことに感動しました。「酵母の話を油谷先生にするとどうなるか・・・」というこぼれ話が面白かったです。

塩見 春彦 先生には、遺伝子サイレンシング蛋白質(Argonaute)に結合する小分子RNAの同定から、小分子RNA の切り出し生成→標的配列のサイレンシング→小分子RNA の切り出し生成というサイレンシングのサイクルについて紹介して頂きました。このサイレンシングのループがトランスポゾンの危険から生体を守るシステムの1つであることが良く理解できました。



高遠シンポジウムの歩みが展示されていました。これまでに、たくさんの先生方が講演されていました。



第 5回(1993) 花岡 文雄 先生,堀越 正美 先生,他
第 7回(1995) 大隅 良典 先生,他
第 9回(1997) 田中 啓二 先生,児玉 龍彦 先生,他
第10回(1998) 浅島 誠 先生,柳田 充弘 先生,他
第11回(1999) 加藤 茂明 先生,宮園 浩平 先生,花房 秀三郎 先生,他
第13回(2001) 中辻 憲夫 先生,他
第14回(2002) 冨田 勝 先生,他
第15回(2003) 宮野 悟 先生,他
第16回(2004) 中村 義一 先生,長田 重一 先生,他
第17回(2005) 中山 啓子 先生,山本 雅之 先生,他
第18回(2006) 上田 泰己 先生,山中 伸弥 先生,御子柴 克彦 先生,他
第19回(2007) 寒川 賢治 先生,遠藤 斗志也 先生,他


【感想】

夕食会ではたくさんの方々と、交流することが出来ました。異分野の研究に触れることは本当に良い刺激になります。また、普段抗体を使わせて頂いているMBLさんの研究開発についても興味深いお話を伺うことが出来ました。

朝食時には、谷口 維紹 先生が、「このシンポジウムは幅広い分野から老若男女が集まっていますね。」とおっしゃられていました。たしかに、今回も大学院生から、定年後さらにご活 躍されている先生方が一同に会して、免疫・発生・エピゲノムなど幅広い分野を学ぶことのできる素晴らしいシンポジウムでした。

MBLの皆様、今年もお世話になりました。ありがとうございました。

MBL ♪ MBL ♪

朝の湖畔の散歩が清々しいですね。



2008年7月4日金曜日

いい質問をするために気をつけるべきこと

 セミナーや発表会の参加者として、いい質問をするために気をつけるべきポイントを6つまとめました。自分もこれに注意すれば、独りよがりの質問をせずにすみそうです。

 みんなのためになるのが基本姿勢ですね。


(1)発表者に対して配慮すべき3ポイント

  ・相手を避難していないか?

  ・発表者に考えることを促し、新たな発見をもたらしているか?

  ・いろいろと答えたくなるように質問しているか?

(2)周囲に対して配慮すべき3ポイント

  ・他の人も聞きたくなるような内容か?

  ・流れにそった内容か?

  ・発想の転換が可能な内容か?


【参考書籍】

■ 吉田 新一郎  会議の技法―チームワークがひらく発想の新次元 2000


【関連記事】

● 【研究本】会議の技法
● 何を質問したらいいのか?
● どう質問したらいいのかという時に
● セミナーを受ける前に

2008年5月11日日曜日

何を質問したらいいのか?

 以前、『どう質問したらいいのかという時に』というエントリを書きました。この記事では、質問の仕方に焦点を当てました。そこで、今回は、京大の柳田先生の著書を引用しながら、質問の内容についてお話ししたいと思います。

 研究を始めたばかりの時や、異分野に参入した時は、発表されている内容が、本当に全く分かりませんね。そんな時、私なら、悔しいので、周辺知識を貯えて再チャレンジするようにしています。柳田先生も本に書かれていますが、「門前の小僧習わぬ経を読む」という諺がある通り、意味が分からなくてもしばらく聴いていると何となく分かるようにもなります。(自分で予習すると理解が進むのは言うまでもありませんね)

《1.質問のしかたのノウハウ》

 ここでは、質問の種類と心構えについて書かれています。心構えについて引用しておきます。

・自分がこれからしようとする質問の意義を、前もって考えておく必要があります。
・おもしろかったら、素晴らしいと思ったらそんな気持ちを言葉に出しましょう。
・質問は常に建設的でありたいものです。

 つぎに、質問の分類について、本の内容をまとめておきます。

 (1)理解できなかった、あるいは聞き逃したことを質問する
 (2)データのとり方に関する質問をする
 (3)主要な結論や仮説について質問する

 このうち、(3)がもっとも聞き手の理解が進んだ状態で発せられる質問の形といえるでしょうね。対等な立場から、論理展開における矛盾点や、考察の妥当性などを指摘することになります。

《2.質問できない、質問する気が起こらなかったら》

 ここでは、質問しない学生を柳田先生が分析された結果について書かれています。

 簡単にいうと、質問は本来無理をしてするものではなく、自然に口をついて出てくるものです。全然分からなければ、全然分かりません、何とか教えてくださいというのが、質問になるわけです。

・・・(中略)・・・

次にわかったような気もするけど、何がおもしろいのか何が重要なのかさっぱりわからないということもあります。そんなことを口に出すのは相手に失礼、こんなことも思うようです。

柳田 充弘 生命科学者になるための10か条
 柳田先生がおっしゃるように、質問を強要するだけでは、学生を育てることはできないと私も常々思います。そこで、どうしたらいいかと考え、どのように質問すべきか、どんな質問をすべきかについて考えるようになりました。ここでは、柳田先生が提示された、2つのシチュエーションにおける具体的な解決法について考えてみました。

 まず1つ目の、全然わからない場合は、「全然分かりません」とストレートにいう人もいます。ただ、言い方によっては全否定になってしまい、破壊的討論にも進みかねません。そこで、もう一歩踏み込んで、言葉を付け足してみるといいのではないでしょうか?例えば、以下のような質問はどうでしょうか?

  「全体像が把握できなかったので、体系的にもう一度教えていただけませんか?」
  「主張(結論)は何でしょうか?」
  「主張のもとになった根拠を3つほど教えてください。」
  「この分野については門外漢ですので、基礎的なことから教えていただけますか?」

 次に、2つ目の、重要性がわからない場合は、「何が新しいの?何の意味があるの?」という攻撃的な質問になる場合があるようです。そこで、先と同様に建設的な質問の仕方を考えてみました。

  「なじみのないテーマですので、この結果にどのような意義あるのでしょうか?」
  「どのような応用が考えられますか?」
  「既に、類似の結果が得られていますが、それと比較して、どこが異なるのでしょうか?」

 いかがでしょうか?これらの質問例は、発表者から有用な情報を提供してもらうことを目的として有意義な討論ができるように考えています。ですので実際に使えるものばかりだと思います。(口論自体は目的ではありません)

【関連記事】

● どう質問したらいいのかという時に
● セミナーを受ける前に

【バックリンク】

◦ いい質問をするために気をつけるべきこと

【参考書籍】

生命科学者になるための10か条

柳田 充弘

【追記】
080511

 何を聞いたらいいのか?何がわからないのか?それがよく分からない場合は、どうしたらいいのでしょうか?こういう場合は、そもそも質問ができなくて当然ですね。こういう場合は、周りの人に具体的に質問してもらい、そこから質問の仕方を学ぶのがよいと思います。

2008年5月10日土曜日

第47回生体医工学会大会に出席しました



 先日、神戸で開催された第47回生体医工学会大会に行ってきました。興味深かった演題をご紹介します。

《1.シンポジウム1「医工連携における人材育成」》

■橋本 成広 医工学系学部における教育

 大阪工業大学医工学研究センターの橋本 成広 先生は、センターの教育・広報への取り組みについて紹介されていました。まず、教育としては、アーリーエクスポージャー(early exposure)として、実習室と研究室を隣接させ、短期間学生を研究室に配属し、興味をもたせる試みがなされていました。また、広報としては、入学前・入学後のガイダンス、父母説明会など精力的に行われているそうです。講演を聴くだけで、大変な努力がひしひしと伝わってきました。しかし、確実にその成果として、医工学を個人単位で誘導した優れた人材が育ちつつあるようでした。

 講演中、印象的だったのは、就職活動における、「結局専門は、医か?工か?と聞かれて学生は困ってしまう」というの面接官のコメントでした。これはやはり、両方を満遍なく学ぶ必要性が浸透していないためだろうと推測します。また、企業側もこのような人材を今後、どう活かすか?を考える必要があると思います。ただし、卒業生は管理職に向くとのことで、就職率は良さそうな印象を持ちました。今後のキャリアパスがどうなるのか興味深いです。

■山口 隆美 医工連携における人材教育?医療工学技術者創成のための再教育(REDEEM)5年間の経験を通じて考える

 東北大学の山口先生は、いつもながら歯に衣を着せぬスタイルで、会場からは時々笑いが起こっていました。とてもパワフルで、個人的に尊敬している先生のひとりです。

 医者とエンジニアが対等な立場で、ともに歩むべきであることを強調されていました。

 印象に残った一言は、「教える側も再教育を受けるべき」ということでした。これは私自身も日頃注意していることでもあります。というのは、過去にインプットした知識のみで、教育し続けていると、内容のクオリティーが向上しないからです。ただ、このように考える教員は少なく、逆に反発されるとのことでした。私自身も、こういった経験があるので「やっぱりそうなのか!」と深く納得してしまいました。

 あと、インパクトがあったのは、ブタの解剖実習をされているそうで、山口先生自身も、手術着をきて解剖されているところを紹介されていました。

 東北大学まで行くのは少し遠いですが、REDEEMは一度受けてみたいですね。
 
《2.シンポジウム5 「フィジオーム・システムバイオロジーの基盤と展開」》

■中尾 光之 階層的生体システムのモデリングについて

 中尾先生は、概日リズムを生体レベルと分子レベルの両側面からの解析結果を紹介されていました。先生が強調されていたことは、分子→生体へのボトムアップ型と、生体→分子へのトップダウン型の両方の研究を進める必要性があり、実際両方の研究成果を説明されていました。分子からは、概日リズムに関わる遺伝子ネットワークからを単純化してモデル化し、細胞実験との整合性を確認していました。生体からは、睡眠実験より、時間感覚の狂いを観察することにより、CNS(視交叉上核:概日リズムの中枢として知られている)と末梢の制御関係を明らかにしていました。今後は、両者の擦り合わせが課題となるとのことでした。


*記事を書いていると、要素還元論とシステムバイオロジーについて、考えてしまいました。また、あらためて記事にします。

【関連記事】

(1)まずは 溶かして 混ぜてみよう!:第47回生体医工学会大会が開催されます

(2)まずは 溶かして 混ぜてみよう!:脳と遺伝子の生物時計

(3)まずは 溶かして 混ぜてみよう!:システムバイオロジー

【参考サイト】

(1)社団法人 日本生体医工学会

(2)大阪工業大学 医工学研究センター

(3)東北大学 REDEEM プロジェクト

(4)大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター

(5)東北大学 大学院情報科学研究科 中尾研究室 (バイオモデリング論分野)

(6)ウィキペディア(Wikipedia):還元主義

(7)教授 児玉 龍彦 | 東京大学 先端科学技術研究センター


IUPS2009 poster 国際生理学会が京都で開催されます

2008年5月6日火曜日

第47回生体医工学会大会が開催されます


 GW明けに、生体医工学会大会があり、初めて出席してきます。GCOEに関連している演題と、私が注目している演題を挙げておきます。開催概要は、後日レポートします。

5月8日(木) 9:00-11:30  A会場

シンポジウム1「医工連携における人材育成」
座長:田中 正夫,山口 隆美

1.橋本 成広 医工学系学部における教育
2.山口 隆美 医工連携における人材教育?医療工学技術者創成のための再教育(REDEEM)5年間の経験を通じて考える
3.倉智 嘉久 大阪大学臨床医工学融合研究教育センターにおける研究科連携による人材育成
4.佐々木 和男  生体医工学サマースクール活動報告


5月8日(木) 14:00-16:30  A会場

シンポジウム3「分子イメージングの現状と展望」
座長:藤林 靖久,小林 久隆

1.藤林 靖久 分子イメージングの概要
2.清水 公治 分子イメージングのための機器開発
3.佐治 英郎 分子プローブの開発
4.飯田 秀博 PET・SPECT機器・解析技術の展望
5.渡辺 恭良 分子イメージング研究による創薬プロセスの革新


5月8日(木) 14:00-15:40  C会場

オーガナイズドセッション4「複雑ネットワーク理論のバイオへの展開」
オーガナイザー:杉町 勝,宍戸 稔聡
座長:宍戸 稔聡,日高 一郎

1.杉町 勝 複雑ネットワーク理論は複雑な生物系の解明に必須である
2.増田 直紀 複雑ネットワーク理論 (総論)
3.手老 篤史 真正粘菌変形体に学ぶ生物ネットワーク理論
4.林田 守広 タンパク質ドメインネットワーク
5.田中 玲子 スケールリッチな代謝ネットワーク


5月9日(金) 14:00-17:00  A会場

シンポジウム5 「フィジオーム・システムバイオロジーの基盤と展開」
座長:梶谷 文彦,野村 泰伸

1.倉智 嘉久 薬物誘発心臓不整脈発生予測の多階層シミュレーション
2.中尾 光之 階層的生体システムのモデリングについて
3.和田 成生 細胞の力学モデル
4.野村 泰伸 グローバルCOE予測医学プロジェクトにおけるフィジオームプラットフォーム

【参考サイト】

(1)日本生体医工学会:第47回生体医工学会大会トップページ

【バックリンク】

● 第47回生体医工学会大会に出席しました

2008年3月27日木曜日

第85回 日本生理学会大会に参加しました



東京で開催された日本生理学会大会に参加してきました。

IUPS(International Union of Physiological Sciences)シンポジウムが催されました。

『日本におけるフィジオーム・システムバイオロジー研究 現状と今後の展望』
Physiome and systems biology in Japan: Present and future prospects

4人の先生方の講演がありました。

理研の上田 泰己 先生は、
「体内時計のシステムバイオロジー」

東大の黒田 真也 先生は、
「スパイクタイミング依存性シナプス可塑性のシステム生物学」

東北大の中尾 光之 先生は、
「階層的生体システムのモデリングについて」

阪大の野村 泰伸 先生は、
「フィジオーム研究推進のためのオープンプラットフォーム構築」

上田先生は、シンギュラリティ現象を解明した研究内容について発表されていました。
非常に興味深い内容でしたので、またレポートします。

東京は桜がきれいでした。