2008年5月11日日曜日

何を質問したらいいのか?

 以前、『どう質問したらいいのかという時に』というエントリを書きました。この記事では、質問の仕方に焦点を当てました。そこで、今回は、京大の柳田先生の著書を引用しながら、質問の内容についてお話ししたいと思います。

 研究を始めたばかりの時や、異分野に参入した時は、発表されている内容が、本当に全く分かりませんね。そんな時、私なら、悔しいので、周辺知識を貯えて再チャレンジするようにしています。柳田先生も本に書かれていますが、「門前の小僧習わぬ経を読む」という諺がある通り、意味が分からなくてもしばらく聴いていると何となく分かるようにもなります。(自分で予習すると理解が進むのは言うまでもありませんね)

《1.質問のしかたのノウハウ》

 ここでは、質問の種類と心構えについて書かれています。心構えについて引用しておきます。

・自分がこれからしようとする質問の意義を、前もって考えておく必要があります。
・おもしろかったら、素晴らしいと思ったらそんな気持ちを言葉に出しましょう。
・質問は常に建設的でありたいものです。

 つぎに、質問の分類について、本の内容をまとめておきます。

 (1)理解できなかった、あるいは聞き逃したことを質問する
 (2)データのとり方に関する質問をする
 (3)主要な結論や仮説について質問する

 このうち、(3)がもっとも聞き手の理解が進んだ状態で発せられる質問の形といえるでしょうね。対等な立場から、論理展開における矛盾点や、考察の妥当性などを指摘することになります。

《2.質問できない、質問する気が起こらなかったら》

 ここでは、質問しない学生を柳田先生が分析された結果について書かれています。

 簡単にいうと、質問は本来無理をしてするものではなく、自然に口をついて出てくるものです。全然分からなければ、全然分かりません、何とか教えてくださいというのが、質問になるわけです。

・・・(中略)・・・

次にわかったような気もするけど、何がおもしろいのか何が重要なのかさっぱりわからないということもあります。そんなことを口に出すのは相手に失礼、こんなことも思うようです。

柳田 充弘 生命科学者になるための10か条
 柳田先生がおっしゃるように、質問を強要するだけでは、学生を育てることはできないと私も常々思います。そこで、どうしたらいいかと考え、どのように質問すべきか、どんな質問をすべきかについて考えるようになりました。ここでは、柳田先生が提示された、2つのシチュエーションにおける具体的な解決法について考えてみました。

 まず1つ目の、全然わからない場合は、「全然分かりません」とストレートにいう人もいます。ただ、言い方によっては全否定になってしまい、破壊的討論にも進みかねません。そこで、もう一歩踏み込んで、言葉を付け足してみるといいのではないでしょうか?例えば、以下のような質問はどうでしょうか?

  「全体像が把握できなかったので、体系的にもう一度教えていただけませんか?」
  「主張(結論)は何でしょうか?」
  「主張のもとになった根拠を3つほど教えてください。」
  「この分野については門外漢ですので、基礎的なことから教えていただけますか?」

 次に、2つ目の、重要性がわからない場合は、「何が新しいの?何の意味があるの?」という攻撃的な質問になる場合があるようです。そこで、先と同様に建設的な質問の仕方を考えてみました。

  「なじみのないテーマですので、この結果にどのような意義あるのでしょうか?」
  「どのような応用が考えられますか?」
  「既に、類似の結果が得られていますが、それと比較して、どこが異なるのでしょうか?」

 いかがでしょうか?これらの質問例は、発表者から有用な情報を提供してもらうことを目的として有意義な討論ができるように考えています。ですので実際に使えるものばかりだと思います。(口論自体は目的ではありません)

【関連記事】

● どう質問したらいいのかという時に
● セミナーを受ける前に

【バックリンク】

◦ いい質問をするために気をつけるべきこと

【参考書籍】

生命科学者になるための10か条

柳田 充弘

【追記】
080511

 何を聞いたらいいのか?何がわからないのか?それがよく分からない場合は、どうしたらいいのでしょうか?こういう場合は、そもそも質問ができなくて当然ですね。こういう場合は、周りの人に具体的に質問してもらい、そこから質問の仕方を学ぶのがよいと思います。

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