2008年3月29日土曜日

システムバイオロジー


システムバイオロジー—生命をシステムとして理解する
北野 宏明
303ページ
出版社:秀潤社
ISBN:9784879622402
発売日: 2001/06
Amazon.co.jpで詳しく見る

【目次】

序章 システムバイオロジーとは何か

1 分子生物学とシステムバイオロジー

2 ”システムとして理解する”とは
2−1 分子からシステムへ
2−2 システムレベルでの理解への4段階
2−3 システムバイオロジーのAGTC

3 中核的研究テーマ
3−1 生命のリバースエンジニアリング
3−2 ロバスト・システムとしての生命
3−3 デザインパターンの蓄積
3−4 生命システム・エンジニアリング

4 システムバイオロジーの展開

●工学システムと生命システムの共通点と相違点


【注目したポイント】

 今回は、北野 宏明 さんの著書「システムバイオロジー」の序章『序章 システムバイオロジーとは何か』をご紹介します。

 まず、システムバイオロジーの説明を引用します。

システムバイオロジーとは、生命をシステムとして理解することを目指した生物学の新しい分野である。

 これまでの、要素還元論的な研究姿勢で生命の全体を捉えることは困難であるという考えが徐々に広まりつつあります。システムバイオロジーでは、それぞれの要素(遺伝子や蛋白質)がネットワークを形成して、生理現象を組織的に制御している様子を捉えることを目的としています。

 
2−1 分子からシステムへ

 システムバイオロジーを研究する際に、従来の研究におけるアプローチが変化することに留意しておくべきだそうです。著書から引用すると、以下のとおりです。

「モノ」(物質)の理解から「コト」(状態とプロセス)の理解への展開とそれに伴いアプローチが拡大する

 つまり、物質を観察する方法と物質が織りなす現象を観察する方法は違ってくるということでしょうね。例えば、培養している細胞を観察する場合は、顕微鏡で観察し、写真を撮ると良いです。また、細胞の運動を見たい時は、ビデオカメラで撮影しながら培養すると良いですね。


2−2 システムレベルでの理解への4段階

 システムを理解するためのプロセスを引用します。

(1)システム構造同定
(2)システム分析
(3)システム制御
(4)システム設計

 理研の上田 先生がよく説明されているように、時計を分解して、(1)歯車の大きさや形を測定して、(2)それぞれの歯車や部品の関係を調べて、(3)それらをもとに設計図を書いて(4)一から作ってみるということですね(上田 泰己 先生のラボサイトも参照下さい)。

 まず、はじめの段階として、『システム構造同定では、生命のシステムとしてのダイナミクスは遺伝子の制御関係から始まる代謝・信号伝達系のネットワークにある程度の基盤を置くことができる』そうです。マイクロアレイ解析などがあてはまりますね。


2−3 システムバイオロジーのAGTC

 AGTCとは、以下の4つのことだそうです(北野 宏明 先生のJST研究成果も参照下さい)。

Analysis
Computing
Genetics
Technology


3−1 生命のリバースエンジニアリング

 高効率な遺伝子・代謝・信号伝達ネットワークを同定する過程で、大切な課題は2つあるそうです。

  1:生命のリバースエンジニアリングを行う技術体系の確立
  2:予測能力のある理論の構築

《1:生命のリバースエンジニアリングを行う技術体系の確立》

 リバースエンジニアリングとは、すでに存在する製品を分解するなどして、その設計図を再構成したり、原理を推定したりする作業である。

(1)フォワード・キネマティックス
与えられた状態からそのシステムの挙動を予測する
(2)インバース・キネマティックス
システムの挙動に関するデータからシステムの構造とパラメータセットを推定する

《2:予測能力のある理論の構築》

例)発現プロファイルからネットワークを推定するアプローチで理論予測した場合
遺伝子回路の論理的または数学的構造を特定することは可能
→ しかしどのように実装されているかは、常に一意には決定できない


3−2 ロバスト・システムとしての生命

 大腸菌の70~80%の遺伝子は、スタビリティー(安定性)とロバストネス(頑強性)を確保するために獲得されたと考えてよいそうです。2:8の法則になっているのは、偶然でしょうか?


【参考サイト】

体内時計の同定・解析・制御・設計について分かりやすいムービーが見られます。
 → 上田 泰己 先生のラボのLSBの活動

ATGCサイクルについて解説されています。
 → 北野 宏明 先生のJST研究成果 研究最前線:コンピューター上でダイナミックな生命現象を解明


【バックリンク】

● 第47回生体医工学会大会に出席しました
● in silico medicine 第5回 定例シンポジウムに参加しました

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↓各ブログは以下のとおり、いろいろなブログがあって面白いですね。


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脳と遺伝子の生物時計

サーカディアンリズムについて詳しく解説されています

  • 書名:脳と遺伝子の生物時計—視交叉上核の生物学
  • 著者:井上 慎一 (著)
  • 発売日:2004/03
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● 第47回生体医工学会大会に出席しました

2008年3月27日木曜日

第85回 日本生理学会大会に参加しました



東京で開催された日本生理学会大会に参加してきました。

IUPS(International Union of Physiological Sciences)シンポジウムが催されました。

『日本におけるフィジオーム・システムバイオロジー研究 現状と今後の展望』
Physiome and systems biology in Japan: Present and future prospects

4人の先生方の講演がありました。

理研の上田 泰己 先生は、
「体内時計のシステムバイオロジー」

東大の黒田 真也 先生は、
「スパイクタイミング依存性シナプス可塑性のシステム生物学」

東北大の中尾 光之 先生は、
「階層的生体システムのモデリングについて」

阪大の野村 泰伸 先生は、
「フィジオーム研究推進のためのオープンプラットフォーム構築」

上田先生は、シンギュラリティ現象を解明した研究内容について発表されていました。
非常に興味深い内容でしたので、またレポートします。

東京は桜がきれいでした。

2008年3月25日火曜日

2008年3月23日日曜日

とても便利なGoogleデスクトップ

 *あのファイルがどこにいった?
 *さっきみてたウェブサイトどこだっけ?
 *このキーワードで昔、作業してたような・・・?

というときに、非常に便利なのが、Googleデスクトップです。Win / Mac両方あります。
私は、Spotlight(Mac OS 10.4)と合わせて使っています。これで、ほとんどのファイルは見つかるようになりました。おすすめです。



【参考サイト】

Google デスクトップ - ダウンロード

【バックリンク】

● Vistaでデスクトップ検索

2008年3月22日土曜日

どう質問したらいいのかという時に

 「質問をするように」と言われてしまうことがたまにありますよね。基本的な質問は、どうしても気が引けてしまいますよね。また、後輩へも、「質問するように」と指導してしまいがちです。でも、「どう質問すべきか?」を伝えることが大切だと思います。したがって、今回はどう質問すべきかについて考えてみます。

 まず、質問の種類について考えてみます。飯久保 広嗣 さんが著書『質問力』で書かれているとおり、質問には、大きく分けて「なに?」と「なぜ?」の2つがあります。つまり、「なに」は知識を獲得するための質問で、極端に言えば質問と答えが対になっています。これに対して、「なぜ」は知性を働かせる質問で、質問に対する答えは何通りもあります。したがって、質問する本来の目的を達成するためには、この2つの質問を明確に使い分けることが肝要です。

 つぎに、質問する時の心構えについて、島岡 要 先生が『うまく質問するために覚えておくとよい10のポイント』にまとめられています。参考になりましたので、引用します。

1)マイクを使う
2)会場のざわめきがおさまるまで一時のポーズを
3)言い訳をしない
4)演者をファースト・ネームで呼ばない
5)しゃべりすぎない
6)短く簡潔に
7)2つ以上質問をしない
8)もし適切ならば、単なる質問だけでなく少しだけ何か自分のことを言いましょう
9)(シャウトではなく)声を張りましょう
10)質問することであなたが成長するということをお忘れなく。

ハーバード大学医学部留学・独立日記:うまく質問するために覚えておくとよい10のポイント

6)長い質問は、つまり、質問が濃縮されていないということでしょう。
(何がききたいのか分からない状態に近いのかもしれません)

7)は複数質問する時は、1つずつという意味です。

3)言い訳とは、たとえば「素人の質問で申し訳ないのですが...」
 → これは時間がもったいないからだと私は解釈しています。
(学会の質疑応答時間はタイトに設定されているため)

 ただし、島岡 先生がつづけて記されているとおり、無知を開き直るのはよくないでしょうね。
大事なことは「素人の質問で申し訳ないのですが...」的態度の根底に無知を恥じるかすかな気持ちを常に持つことではないでしょうか。

ハーバード大学医学部留学・独立日記:専門家根性

確かに、このような気持ちがない人の質問は、聴いているこちらが悲しくなりますね。

 また、私自身がいつも気をつけていることは、以下のことです。

予め、「何を聴ききたいか?」を決めて聴講する。

 学会などに出席した際に、聴講報告書を求められることがありますね。これは、アウトプットを前提としたインプットが心がけられます。ですから、形式的な 提出に終わらせるのではなく、文章トレーニングのひとつとして書くと良いと思います。事前に配られる要旨集はよく読み、講演内容を把握しておくことも、当日質問するためには大切な準備のひとつですね。
(でないと、時間の無駄ですので)

 最後に、質問に失敗しないための6つのコツをご紹介します。(つまり以下の項目の逆をすれば、質問上手になれると考えています

◆質問が下手な人に多く見られる傾向

1.気配りができない
2.自己中心的で、相手を考えない
3.質問に応じてくれることのありがたさに気づかない
4.謙虚さが足りない
5.情報が集まってこない
6.他者と、心のふれあう関係ができない

質問する技術が面白いほど身につく本 櫻井 弘 (著), 内山 辰美 (編集)

【参考書籍】


(1)質問の定義、質問を成り立たせる論理について詳しく解説されています

  • 書名:質問力—論理的に「考える」ためのトレーニング
  • 著者:飯久保 広嗣 (著)
  • 発売日:2003/02
  • 項数:238ページ
  • ISBN:9784532310332
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

(2)質問する準備やポイントについてまとめられています

  • 書名:質問する技術が面白いほど身につく本 (知りたいことがすぐわかる)
  • 著者:櫻井 弘 (著), 内山 辰美 (編集)
  • 発売日:2003/7/1
  • 項数:159ページ
  • ISBN:9784806118336
  • Amazon.co.jpで詳しく見る

【関連記事】

● セミナーを受ける前に

【バックリンク】

● 学生のうちにしておくべきこと
● 何を質問したらいいのか?
● いい質問をするために気をつけるべきこと