2009年11月6日金曜日

研究生活の転機には必ずメンターに恵まれた

日立製作所 神鳥 明彦 氏のセミナーを聴講しました。

講演内容は以下の通り。

 ・研究概要と技術開発について
 ・論文推移からみた研究人生
 ・研究方向性の選択
 ・プロジェクトの成功法
 ・ものづくりが人を育てる

論文数は13年間で38報もあり、社内No.1だそうです。非常にアクティビティーの高い方でした。印象的だったのは、タイトルにもある通り、研究生活の節目節目には優秀な先輩研究者が数多く現れるということでした。お話を聴きながら、良い出会いは良い成果に繋がるということを実感しました。

企業では特許に比べて論文はあまり重視されないと一般的に言われます。しかし、神鳥さんのお話では論文となることであらためて社内で注目され、予算がつくこともあったそうです。アカデミアでも企業でも論文の大切さは変わらないようですね。また、論文を書くと直感力が磨かれたそうです。これはちょと意外でしたが、他人の視点に触れることで直感力が培われるのかもしれません。

直感したらとにかく試せ。成功率は1割程度かもしれないが、失敗は必ず成功に繋がるとのことでした。これに関しては、実際に神鳥さんが遊びで作っていた装置が、別の研究の測定の突破口となる技術に繋がったそうで、遂に市販されるまで至ったのだそうです。素晴らしいですね。

今回のセミナーは学部生や大学院生に向けて行われていたので、学位を取得した後の研究生活の送り方についてもお話ししてくださいました。神鳥さんによると、博士号を取得した時点から10年近くは自分の技術を磨き、しっかり強みを作っておくことだそうです。これが木の幹のようにしっかりと土台になって、新たな分野への開拓に繋がるとのこと。

また、会社に勤める博士に求められることは、「顧客からの価値」と「シーズ技術」と「ニーズ」この3つのバランスをとりながら研究の方向性を決めることだそうです。アカデミアにはない視点を学ぶことができました。

研究ではとにかく自由にやることが大切だそうです。神鳥さんは部下に対して大まかな方向だけを決めて、後は本人に任せるのだそうです。このあたりはマネジメントとして参考にさせて頂きました。

最後に、神鳥さんのセミナーのまとめメモを記します。

研究者として大事なこと
発想は一人のアイデアから
直感したらすぐ試す
自分の時間を作る
社外に問い、世の中の流れを肌で感じる
広い視野で新しい分野も勉強する。
研究者は研究以外でききないということを自覚する
予算獲得も研究の一環である
学位は通過点である、責任が発生する
ものづくりを経験する。(ちょっと難しいくらい<3割くらいの難度>)

メンタル面
 技術力があれば絶対にやり遂げるという熱意が重要
 つねに研究をサポートしてくれる人に感謝する




【参考図書】

直感力に関して、参考図書を挙げておきます。

■ 直感力
直感力の必要性を述べた1冊です。

■ 99%は論理力 1%は直感力
相手の論理の弱さは、直感力で見つけることもできるそうです。

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