2008年6月30日月曜日

クリエイティブな論文を書く

 クリエイティブな論文を書くには、50稿必要なのだそうです。2〜3稿でも結構しんどいですけど。もっと修行をしないといけませんね。まるでマラソンですね。

 島岡先生のブログから引用します。

当たり前に聞こえるかもしれませんが、質の高い論文や原稿を書くためのコツは、何回も書き直すことです。通常は初稿があがった時点で同僚や共同研究者に見 せてコメントをもらいたいところですが、ここではあえてそれを薦めません。というのは初稿は通常非常に陳腐なアイデアや表現が詰まっていることが多いから です。

・・・

初稿から第10稿程度までは「陳腐なアイデア」を出し尽くすための創造的破壊のプロセスです。その後、第30稿ぐらいになるとやっと面白いアイデアや切り 口、的を得た表現が生まれ始め、さらそれらを壊したり、成熟させたりして第50稿ぐらいで鑑賞に耐えうるような作品になるように思います。

第50稿(時には第100稿)までの過程はいわゆる”産みの苦しみ”をとともなう、時として非効率的で、過酷な精神修養ですが、これが『論文力』 をつける絶好のトレーニングであると考えます。この過程で常に人とディスカッションすることは必須ですが、クリティカルポイントである”後半1/3”に達 するまでは、原稿を人に渡すべきではありません。

ハーバード大学医学部留学・独立日記:論文力のつけ方



【参考サイト】

* ハーバード大学医学部留学・独立日記:論文力のつけ方

2008年6月29日日曜日

独創的に考える

 独創的に考えるためには、これまでに得てきた知識をいったん忘れて、子どものように発想することが大切なのですね。このことについて書かれていた本から、引用しておきます。

 独創的に考えるということは、心理学で「自発的退行」と説明されるもので、昔の、たとえば子供のころの精神状態に戻る旅なのです。

 ピカソは、ラファエロのような技術レベルで絵を描くことを習得した後で、子供のように描くことの重要性を悟ったと語っています。

 子供はどうしてそんなにの賢いのでしょうか?そして、なぜ、大人は子供ほど賢くないのでしょうか?

 それは、私たちの想像力は知識や判断力が増すとともに縮小する傾向があるからです。

スチーブ リブキン アイデアをいただいてしまえ!


 たとえば、幼い子どもの遊ぶ姿をそばでじっと見てみよう。彼らは大人が与えたオモチャよりも、もっと別なものに興味を示したり、大人が考えもつかないような使い方で遊んだりするものだ。

 子どもが遊ぶ姿を観察するだけでも、いかに私たち大人が発想の豊かさを失ってしまったかが、よくわかる。

 大人の発想の枠から離れ、発想をもっと豊かにしたければ、とくに男たちは子どもと接する時間を増やすかにかぎる。

表 三郎 答えが見つかるまで考え抜く技術


【参考書籍】


■ スチーブ リブキン,フレイザイー サイテル アイデアをいただいてしまえ!―模倣はこんなにクリエイティブだ 2003







■ 表 三郎 答えが見つかるまで考え抜く技術 2003






【関連記事】

● 学ぶということが創造的である
  もともと人は創造的であったはずです。

● サイエンスを愛するアーティスト
  ダリやエッシャーは、サイエンスを愛したと言われています。


【バックリンク】

● 【ひとこと】選難楽

2008年6月28日土曜日

学ぶということが創造的である

 HIROKI tanahashiさんの、『DESIGN IT! w/LOVE』の記事を読みました。デザインの観点からのエントリですが、研究にもピッタリあてはまることばかりなので、引用しながら意見していきます。

みなさん、どうも勘違いされているようですが、人間って本来、創造的な生き物です。
それをどういうわけか「創造性を発揮するにはどうすればいいのか?」ってヘンな議論になったりする(僕自身、勘違いして同じことをやっていたわけですが)。

本 来、生物として創造的なんだから、あらためて創造的になろうとすること自体、おかしいわけです。でもね、確かにそうしなきゃいけない理由もある。それは何 かというと、創造的でなくなるようなことを、いまの人間ってあまりに多くやってしまっているから。それも日常茶飯事に。

・・・

でもね、創造的でありたいとか思いつつ、ほとんどの人が何かわからないことがあると既存の答えを探そうとしたりしませんか? グーグルで検索するのもそうだし、他人に答えを求めるのもそう。何か分からないことがあると自分でろくに勉強もせずに、セミナーで人の話を聞いて理解しようとしたりします。
それって、まったく創造的じゃないですよね。

 これは、学会発表やセミナーなどで注意すべきことです。「〜という報告があります。」「〜は〜だと知られています。」と、既存の知識を引き合いに出すだけでなく、それを根拠として自分の主張をしっかり言うことが大切ですね。自分で考え抜いた答えなら、十分に創造的だと、HIROKI tanahashiさんは言います。

誰かに何かを質問されて、誰かがつくったような答えではなく、自分で考えて考え抜いた答えを返そうとすればそれだけで創造的で あるはずです。それを正しい答えを言わなくてはいけないと思って、既存の答えを探そうとするから、新しいものを生み出す創造性とはどんどんかけ離れてい く。相手との一期一会の場をわざわざ他の場所で使い古されてきたような正解ばかりを使って埋め尽くし、一言も自分の言葉を話さず、自分の感覚で相手の話を 受け止めようとしない。出された質問に答えるのにも信頼できると思いこんだありがちな方法論を使って答えてしまえば、そりゃ、どこからも新しいものが生ま れるはずはないでしょう。

相手との一期一会の場を創造のために使おうと思えば、できるだけ相手の発する言葉を自分自身の感覚で受け止め、 自分自身の言葉で返せばいいだけです。それを正しい答えを言わなきゃいけないと思ったり、相手や相手の言葉を何かのカテゴリーに無理やり押し込んで理解し ようとしたり、そんな余計なことばかりしてるから創造性は失われるわけです。

「〜という蛋白質が増えていることがウエスタンブロット法でわかりました。」
「それは、なぜ増えているのですか?」
「結果は示されていませんが、蛋白質の安定性が増したのか、あるいは遺伝子発現が亢進したのだと思います。」

 たとえば、このようなやり取りは、日常起こります。個人的には、もっと何か新しい理由がないものかと、考え込んでしまいます。たしかに、反応の基質や触媒となる分子が入れ替わるだけで、生体反応は一定の法則のもとで成り立っていると仮定するなら、それを整理して理解していけば良いでしょう。

 しかし、新しい生体反応を発見して、それを既存のものに追加していくことは、生体をより正確に理解する上では不可欠です。したがって、まったく新しい仮説を立てて検証していくということも必要でしょう。

 上に挙げた蛋白質の例では、その後しかるべき検証実験を行なってから、考察し、その先の仮説を考えていけば良いですね。でももし、2つの可能性が消えたら、その向こうに新しい発見が待っているのかもしれません。

方法と目的を取り違えてませんか?普通にやってれば本当は人間なんて創造的なわけです。それをやたらと方法にこだわるから創造性を失うわけです。

・・・

もちろん、それはどんなツール・方法でもおなじこと。それがどんな役割を果たしてくれるものかを理解しさえすれば、別にその方法にこだわる必要なんてない。それなのに方法そのものを知りたがるし、それでいて自分でそれがどんな役に立つのかを考えてみようともしない。何の役に立つのかを考えずに、どうして方法に興味をもてるんだろ?って逆に不思議に思いますけど、僕なんかは。

方法と目的を完全に取り違えちゃってるんですよね。目的の達成を考えるんじゃなくて、方法ばかりを求めてしまう。方法そのものが目的になってしまう。 何か正しい方法があるかと勘違いして、その答えを学ぼうとするからおかしくなる。そうじゃないでしょ?って思う。創造性は方法を学ぶことだけじゃ発揮され ません。むしろ、さっきも書いたように方法ばかりに頼ろうとするから、本来、人間が持っている創造的な性質を失ってしまう。

勉強するってことを答えを知ることだと勘違いしてません?そりゃ、創造性を発揮するのにも道具や適切な方法を使ったほうがラクなことはある。でも、それは創造的な結果を生み出すという目的にフォーカスしてるからいいのであって、方法から入ったら何も生まれてはきませんよ。

 手段が目的化する。最終目的を書き出して、常に意識しておかないと、これに落ち入ってしまいます。

 また、方法論については、確かに原理を学ぶことも大切です。ただし、それをどのように応用するかを常に考えておかないと知識の蓄積に終わってしまいますね。

本当に学ぶ気があったら知識を得ること自体を目的にするのではなくて、自分の目的を達成することに注力して、その視点から方法が適切かどうかを自分がそれ を使うなかで判断できる目をもつことを学ばないと意味はありません。それに最初から書いているように人間にはそうしや創造的な学びの力がそもそも備わって いるのですから、それを使わずにわざわざ他人のお古のような方法にすがろうとするからいつまで経っても何も身に付かないわけです。

学ぶということ自体が創造です。学ぶということは何より新しいことにチャレンジして、自分自身を変えていくことにほかならないのですから。自分を変える以上の創造的な行為ってないと思うんですけど。

 学び続けるということが、創造的であることにつながるのですね。とても良い記事だと思いました。是非、全文を以下のサイトから読んでみてください。


【関連記事】

● 知識と思考
  Googleで検索して情報を集めるにとどまらず、自ら考えることの必要性について記事にしています。

● デキる大学院生になろう!
  手段が目的化することを防ぐコツについてまとめています。

● デザインとサイエンス
  HIROKI tanahashiさんのブログを引用した、創造についてまとめた記事です。


【参考サイト】

* DESIGN IT! w/LOVE:学びと創造性


【バックリンク】

◦ 独創的に考える

2008年6月27日金曜日

信じるってのは、成功も失敗も含めて信じること

 『大学教員の日常・非日常』の記事を読みました。日常的に良くあるエピソードから、信じるという意味について考えさせられる一件ですね。仕事を任せるときも、任されるときも“信じる”心構えを忘れないようにしないといけませんね。引用しておきます。

 「すいませーん、レポート提出したいんですけど」

フラスコの部屋は講師が数人同居する大所帯。
こんな風に声をかけられても、誰に話しているのかわかりません。

「出せばー?」

投げやりな返事をしたのは、体育の先生。
すばらしく、無責任です。

「R先生のレポートなんですけど…」

けど…で終わる話し方は、学生の得意技です。
毎回、毎回、だからどうした?と言いたくなります。

・・・


「レポート提出したいので、預かってもらえませんか?」

なんですとー。

「R先生に渡してほしいってこと?」
フラスコ、とりあえず確認してみます。

「はい、お願いします。」

いや、しかしね。

すると、体育の先生が勢いよくこたえました。

「いいけど、忘れてもいい?」

「え?」
学生もキョトンとしましたが、フラスコもびっくり。
いきなり何を言い出すのかしら?

「俺が預かってもいいけど、明日は非常勤だからR先生に会わないんだ。明後日以降になったら、忘れちゃうかもしれないけどいい?」

「いえ、それは…」

困りますぐらい、省略しないで話そうぜ。

「そうか、じゃ、失敗されて困るようなことは、任せちゃだめだよ。信じるってのは、成功も失敗も含めて信じるだからね」

お、体育の先生、いいこと言った。

学生は、大事なことを学んで帰っていったようです。


実際、他人に任せたと言いつつ、成功以外許さない人たちがいます。
成功しない人間に仕事をふったという責任をとらずに、怒鳴り散らす方々がいます。
おそらく、一般企業にもたくさんいらっしゃるでしょうが、大学にもそんな人がいらっしゃるわけです。

だったら、最初から自分でやれよ、と思ったりします。

うまく仕事をふりわける、という能力と、その結果を受け止めるという度量が、上役には必要なんじゃないかと考えさせられる一言でした。


で、そんなことを体育の先生に伝えてみると、

「フラスコさん、いろいろよく考えるねーw 俺は自分がフィールダー(サッカー選手のことこう言うの?)だったとき、シュート外してむかつく相手にはパスしなかっただけなんだけどさぁw」

との、お返事。

なるほどねぇw

大学教員の日常・非日常:任せるなら、ミスして怒るな


  「失敗されて困るようなことは、任せちゃだめだよ。信じるってのは、成功も失敗も含めて信じるだからね」

任せられた人間は、この言葉を逆手にとって、失敗していいわけじゃないですよね。
当たり前なんですが、そこ大事。

任された部下は、上司の信頼にこたえて、いっしょうけんめいやらなくちゃいかんのです。

大学教員の日常・非日常:任せると、任せられる。
 

【参考サイト】

* 大学教員の日常・非日常:任せるなら、ミスして怒るな
* 大学教員の日常・非日常:任せると、任せられる。

2008年6月26日木曜日

【研究本】創造的論文の書き方


創造的論文の書き方

伊丹 敬之 (著)

発売日:2001


《目次》

対話編 若き弟子たちの悩み
第1章 研究するということ
第2章 文書を書くということ
第3章 考えるということ、勉強するということ
概論編 研究の仕方、文章の書き方
第1章 テーマを決める
第2章 仮説と証拠を育てる
第3章 文章に表現する
第4章 止めを打つ
第5章 小さな工夫、ふだんの心がけ
付録 論文の書き方について・伊丹メモ統合版

2008年6月25日水曜日

雑誌のありがたみ

 ブログ『大学教員の日常・非日常』で、国立大学が予算の都合で、雑誌の購読を取りやめるという記事を取り扱っていました。

 日頃、自由に多くの論文にアクセスして、情報を集めることが出来る恵まれた現在の環境に、あらためて感謝しました。

【参考サイト】

* 大学教員の日常・非日常:本を買えない大学
* YOMIURI ONLINE|大学が学術雑誌買えない

2008年6月24日火曜日

【ひとこと】パーキンソンの膨張する仕事の法則

仕事は、完成するために割り当てられた時間に応じて、重要性や複雑性において、膨張する

パーキンソンの法則


短時間で、仕事をこなせるように心がけたいですね。

2008年6月23日月曜日

【本棚】アポトーシスとシグナル伝達

■ シグナル伝達がわかる

秋山 徹

2001


■ キーワードで理解するシグナル伝達イラストマップ―各シグナル因子の詳細情報とネットワークの全体像がひと目でわかる!



2004


■ シグナル伝達研究〈2005‐’06〉生命現象や疾患を支配する分子メカニズムと新しい研究法―現在と未来

山本 雅,仙波 憲太郎

2005



■ アポトーシスがわかる

田沼 靖一

2001


■ 実験医学 (Vol.22No.11(2004増刊)) 成熟・展開するアポトーシス研究

辻本 賀英,一條 秀憲

2004

2008年6月22日日曜日

第4回キャリアサロン―PhDのためのジョブハント


 第4回キャリアサロン@先端科学イノベーションセンターに参加しました。小栁智義さんによるキャリアのつくり方のセミナーが開かれました。30~40人くらいの博士課程・ポスドク・特任教員などが参加されていました。普段聴く機会のない、PhDのためのジョブハントの具体的なノウハウを教わりました。

【概要】

  ・エレベーター・ピッチ
  ・自分の位置の見極め/Design Your Tactics!
  ・Informal Interviewのススメ
  ・履歴書、職務経歴書とは?
  ・実際にキャリア採用内容を見てみよう。
  ・履歴書添削
  ・アカデミアでは?
  ・アメリカでの就職活動のイロイロ(雑談風)


【ポイント】

1.はじめにしておくべきこと

 現在から3年後のキャリアアップを考えておく
 目的のために手段を選ぶ
 他人より一歩前の情報を自分で集める

 また、『成功者は、腰が低く、面倒見が良く、謙虚で、メールの返事が速く、仕事が速い』という言葉も印象的でした。

2.エレベーター・ピッチ

 エレベータートークならぬ、エレベーター・ピッチは自己紹介を30~60秒で行なうというもの。この短い間に、「名前・立場・専門分野・何がしたいか?・どんな活動をしているか?・連絡先」を相手に伝えるというもの。セミナー中にも、全員で実際したのですが、どうしても専門分野の説明に時間がかかり過ぎているということがよく分かりました。また、長く説明した割に、相手が覚えていないという“反比例現象”も面白かったです。1分で話をまとめる技術という樋口さんの本を読み直そうと思いました。しっかり練習しないと、1分以内にまとめるのは難しいです。

3.自分の位置の見極め

 現在と夢との間を分析するということです。期間は5~10年位を目安に、最終目標に、中継地点を定めて、進んでいくということですね。本田 直之さんのいうゴールからの逆算思考と同じですね。夢をどう実現していくかは、熊谷さんの本に詳しく載っていました。

4.Informal Interview

 会社の人に直接話を伺うということです。行きたい会社があるのならば、その会社の複数の方にお話を聞くのも良いそうです。自分の職探しについて、話し合ううちに、自分でも気づかなかった可能性についても発見できるそうです。

5.履歴書、職務経歴書とは?

 製薬企業の場合は、履歴書を読むのは人事部であり研究者ではありません。これに注意しないと、専門的な履歴書を作ってしまいかねませんね。伝わらない履歴書は、採用からは遠のくということがよく分かりました。

 アピールポイントでは、Informal Interviewで集めた会社の実情に沿って、自分が貢献できる事柄について、背景となる自分の業績を根拠に書いていくことが大切なのだそうです。非常に納得できますね。


【感想をひとこと】

 親睦会で、小栁智義さんとお話をさせていただきました。自分の目標を具体化することと、今の目標の先の展開をきちんと考えなければいけないことに気づきました。

 玉井さん,中安さん,井上さんこのような集まりを企画していただき本当にありがとうございました。いつか、自分も自分の歩んできた道についてお話しできるようになれればと思います。


【関連記事】

● ゴールを紙に書くことの大切さ


【参考サイト】


* 大阪大学 先端科学イノベーションセンター 科学技術キャリア創成支援室
* Salary.com
* 海外ネットビジネス事例 :報酬情報により就職希望者を囲い込むサラリー・コムの戦略


【参考書籍】

■ 樋口 裕一 「頭がいい人」が武器にする 1分で話をまとめる技術 2006
■ 本田 直之 レバレッジ・シンキング 無限大の成果を生み出す4つの自己投資術 2007
■ 熊谷 正寿 一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法 2004







【バックリンク】

◦ バイオポスドクの受難

2008年6月21日土曜日

知識と思考

 大学でレポート作成を課題として出すと、ネットで検索した結果を、丸々コピペして提出する学生が多いというはなしを良く耳にします。このような、“コピペ”は最近始まったことではないと思います。なぜなら、ネットが普及する以前は、図書館に行って専門書を読み、その内容を“抜き書き”して提出するケースも少なからずあったと想像するからです。

 Satoshi Nakajimaさんは、ブログ『Life is beautiful』の記事で、ご自身の記事が丸写しされたという経験をもとに、次のように“コピペ”の問題点を指摘されています。

 日本の学生の勉強に対する態度なんてそんなものなのかも知れないが(それはそれで憂うべき話だがその話は別の機会に)、少し心配になるのがどんな 気持ちでその手の「コピペ」をしているのか、という点である。確信犯的に「徹底的に手を抜きたいからコピペしているだけ」ならまだ許せる。私が問題視する のは「自分で考える前にまずググる」習慣であり、「ググれば答えが見つかるにちがいない」という錯覚である。

 暗黒時代とも呼ばれる中世ヨーロッパで科学の進歩があんなにも長い間低迷した原因の一つは、あの時代の人たちが聖書に書いてあることすべてを絶対 的な真実として受け入れてしまい、自分で考えることをやめてしまったこと。地動説を主張したガリレオが弾圧されたのも、天動説を絶対的な真実として受け入 れて思考停止をしてしまった社会のなせるわざだ(このあたりの話に関しては、「古典力学の形成」に詳しく書いてある。ちなみに、この本は理科系の人たちにとってはすばらしいエンターテイメント)。

 問題は、上に書いたように自分で考える前にググって「手っ取り早く答えを見つけてくる」ことを習慣的にやってきた学生が社会に出た時に、ちゃんと 自分で考えることができるのだろうか、ということ。自分で考える努力をせず、ネットで見つけた情報を頭から信じて行動することは、聖書に書いてあることを 頭から信じ込んで思考停止をしてしまった中世ヨーロッパの人たちの行動と同じだ。

 ということで、今日のメッセージは「宿題を手っ取り早く終わらせるためにググってコピペするのはかまわないが、あくまで確信犯としてやってほし い」ということ。特に仕事でネットを使う時には、ネットにはでたらめな情報・勝手な意見があふれている、ということをキチンと認識した上で使いこなしてほ しいということ。

 難しい問題に直面したときに、自分で考える前にまずググって答えを探してしまっていませんか?ネットで見つけた解決方法をろくに考えずもせずに採用してしまっていませんか?


Life is beautiful:自分で考える前にググっていませんか?


 「ネットにこう書いてある」といって、真に受ける人が多いと私も最近感じています。自分で考えないということの問題点を指摘されている良い記事だと思い、引用しました。

 私自身も、日々Googleを活用して、書籍・論文・学会抄録・議事録などを収集しています。情報が過剰になるとどうしても思考することが疎かになりがちですね。

 知的生産には、信憑性の高い情報を適宜引用して、自分の主張の根拠としていくことが必要ですね。自分でも気をつけようと思いました。最後に、これに関連して、lets_skepticさんの記事も引用しておきます。

私が考える問題解決の道は以下である。

  1. 問題意識を持つ(これから解決すべき問題を知る)
  2. 情報を集める(ググる)
  3. 情報を理解し評価する
  4. 考えをまとめる

Skepticism is beautiful:考える前にもっとググっていいんだよ



【参考サイト】

* Life is beautiful:自分で考える前にググっていませんか?
* Skepticism is beautiful:考える前にもっとググっていいんだよ


【バックリンク】

● 学ぶということが創造的である

2008年6月20日金曜日

in silico 創薬

 本日、講義をしました。

in silico drug discovery: インシリコ創薬
in silico medicine: インシリコ医薬

 in silico 創薬の必要性が高まっている背景と、我が国におけるin silico 創薬の現状と基礎研究について、講義しました。

 近年の医薬品の研究開発費の高騰と治験医薬の減少という創薬の過程の現状と、データベースの整備やシミュレーション技術の高精度化が背景となり、in silico 創薬は、今後注目されるアプローチになると考えています。

 聴講された皆様、ありがとうございました。講義で得た内容を、是非今後の研究に取り入れてご活用下さい。

 研究室内の学生さんに好評で、準備してよかったと思いました。

講義内容で使った参考資料です。


【参考文献】

■ 桑嶋 健一 不確実性のマネジメント 新薬創出のR&Dの「解」 2006
■ 勝部 純基 実学的創薬研究概論 2006
■ 厚生労働省医政局経済課 創薬の未来 新医薬品産業ビジョンと創薬のための5か年戦略 2007
■ 京都大学大学院薬学研究科 新しい薬をどう創るか―創薬研究の最前線 2007
■ 杉山 雄一 最新創薬学 2007−薬物動態学特性の解析は創薬のキーワード− 2007




【関連記事】

● G-COE spring 2008 database
 講義の後半に話した、データベースやその使い方をまとめて記事にしています。


【参考サイト】

* E-Cell 3D
* グリッド上で次世代細胞シミュレータの開発に成功
* 医薬基盤研究所シンポジウム「in silico創薬の現状と展望」
* Cell Illustrator Projects

【バックリンク】

● 【研究本】新しい薬をどう創るか
● 【研究本】不確実性のマネジメント

2008年6月19日木曜日

【研究本】生物と無生物のあいだ


生物と無生物のあいだ

福岡 伸一 (著)

発売日: 2007


《目次》

プロローグ
第1章 ヨークアベニュー、66丁目、ニューヨーク
第2章 アンサング・ヒーロー
第3章 フォー・レター・ワード
第4章 シャルガフのパズル
第5章 サーファー・ゲッツ・ノーベルプライズ
第6章 ダークサイド・オブ・DNA
第7章 チャンスは、準備された心に降り立つ
第8章 原子が秩序を生み出すとき
第9章 動的平衡とは何か
第10章 タンパク質のかすかな口づけ
第11章 内部の内部は外部である
第12章 細胞膜のダイナミズム
第13章 膜にかたちを与えるもの
第14章 数・タイミング・ノックアウト
第15章 時間という名の解けない折り紙
エピローグ

2008年6月18日水曜日

薬物データベース


薬物のデータベースをご紹介します。MOLファイルなどダウンロードできるので、便利です。他にも、KEGG LIGAND, ChemIDplus, PubChemなどもオススメです。使い方の詳細は、『バイオデータベースとウェブツールの手とり足とり活用法』をご参照ください。


【参考サイト】

* DrugBank
* KEGG LIGAND
* ChemIDplus
* PubChem


【関連記事】

● G-COE spring 2008 database
 バイオデータベースをまとめて記事にしています。


【参考文献】

■ 改訂第2版 バイオデータベースとウェブツールの手とり足とり活用法 中村 保一 石川 淳 礒合 敦
羊土社 2007
 第5章 マテリアル系(No. 24 ChemIDplus, PubChem No. 25 KEGG LIGAND)に詳細な解説が載っています。

2008年6月17日火曜日

【ひとこと】建築は本のように、読み取れる人だけが本当にわかる

「建築を頭で考えるトレーニングが、この厳しい旅で可能になり、今も私の大切な能力になっている。建築は本のように、読み取れる人だけが本当にわかる。それができなければならないのです。」

安藤 忠雄


本質を読み取る力が大切なのですね。

2008年6月16日月曜日

in silico medicine 第6回定例シンポジウム


大阪大学工学研究科で開催された『in silico medicine 第6回定例シンポジウム』に出席しました。

【演題】

生体信号・画像解析プロジェクト 生体組織のモデル化と予測診断

フィジオーム・システムバイオロジーの標準プラットフォーム構 築に向けて
「硬さ」を基盤とした組織レベルのモデル化と予測診断に関して議論します.

オープニング
金子 真 (大阪大学工学研究科)

「心不全の病態既定因子である心臓の硬さの非侵襲的評価法への取り組み」
山本 一博 (大阪大学MEIセンター・医学系研究科),東森 充 (大阪大学工学研究科)

「力学原理に基づく細胞・生体組織のモデリング」
和田 成生 (大阪大学MEIセンター・基礎工学研究科)

「生体組織のダイナミックパラメータ推定」
金子 真 (大阪大学工学研究科)

「眼のダイナミックモデル構築に向けて」
山田 憲嗣 (大阪大学MEIセンター)

招待講演1 「眼球の硬さの評価と臨床応用」
木内 良明 (広島大学医歯薬総合研究科)

招待講演2 「Contact Interface towards Better Quality of Life」
Imin Kao (New York State Univ)


【参考サイト】

* MEI center Global COE in silico medicine|セミナー・イベント

2008年6月15日日曜日

ただの批判は創造的ではない

 私の尊敬する研究者の方々は、「どうやったらできるかな?」「面白そうですね。いろいろやってみましょうか」「だいぶ進みましたね」など、シビアにデータを確認しながらも、ポジティブに意見してくれます。このような方々とのディスカッションは非常にエキサイティングですし、アイデアが沸き起こり、どんどん研究を進めたくなります。

 その一方で、「そんなことは意味がない」「何が新しいのかわからない」「信じられない」など、全否定型の意見を述べる人は少なからず存在しています。あまりにも論文を否定的に読むことをすり込まれたからか、他人が信用できないからなのかと、私は推測しています。

 研究を進めるためには、先行研究に基づいて展開させるか、あるいは対立する論理を打ち出すかの2つのアプローチがあります。後者の場合は、先行研究を否定することになります。ただし、単に否定するだけでは論文にはならないので、必ず代わりの論理が必要となります。

 私は、ただ単に否定するだけでは、不十分だと考えています。ですので、支持できない論理に出会った場合は、かならず反論するための根拠を準備するようにしています。それをしないと、生産的でないように思えるのです。

 また、 島岡 要先生も、”批判の後には、オルタナティブ(代わりの提案)を忘れずに”を心がけているようです。詳細は、『批判するのは容易いが....』をご覧下さい。

 人類の発展のために研究しているのであれば、意見は建設的であるべきですね。


【参考記事】

● クリエイティブなアイデアを生み出すために


【参考書籍】

■ 新堀 聡 評価される博士・修士卒業論文の書き方・考え方 2002
 先行研究に基づいて、どう展開するかについてわかりやすく解説されています。


【参考サイト】

* ハーバード大学医学部留学・独立日記:批判するのは容易いが....

2008年6月14日土曜日

ゴールを紙に書くことの大切さ

 GMOインターネット社長である熊谷正寿さんも、自分の夢を書き出すことの大切さを『一冊の手帳で夢は必ずかなう』という本に書かれています。同じことは、研究者にも言えることなのだということをあらためて痛感しました。島岡 要さんの実験医学への連載記事から引用します。

実際の効果のほどは

 自分の経験談を語ると,まずポスドクとして渡米する前には日本の大学の送別会で「3年でCellにファーストオーサーで論文を出せなければ研究者をやめる」と宣言した.このマイルストーンは3年では達成できなかったが,チャーチルの言葉で自分を鼓舞・正当化し,厚顔にも研究者を続け,その2年後に達成する.その後独立してからは「Cell,Nature,Scienceいずれかにラストオーサーで論文をのせる」とブログで宣言し,1年で達成した.

 坪田一男先生も、留学する近道は『「留学したい!」と大声をあげること』と本に書かれていました。夢は宣言しておいて損はないということですね。

 私も夢を宣言しておきます。

 『Cellにシステムバイオロジー研究で1報出すことです!』

【参考書籍】

■ 熊谷正寿 一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法 2004
■ 坪田 一男 理系のための研究生活ガイド—テーマの選び方から留学の手続きまで 1997


【参考サイト】

* ハーバード大学医学部留学・独立日記:ゴールを紙に書くことの大切さ
* 実験医学:研究者のためのプロフェッショナル根性論
* 実験医学:研究者のためのプロフェッショナル根性論|第6回 人生のプライオリティーを決める


【参考記事】

● 【研究本】理系のための研究生活ガイド
 坪田一男先生の本を紹介しています。いい本なので、おススメします。私は何度も読んでいます。

【バックリンク】

● 第4回キャリアサロン―PhDのためのジョブハント

JP-daichann

JP-daichann:Mac OS Xでバイオインフォマティクス

論文管理、構造解析、実験計画など、日常的に使えるサイトが詳しく紹介されています。

2008年6月13日金曜日

まずは、この人の話を聞いてみよう。

藤井さんの『理系兼業主婦日記』からエントリを引用します。

考えさせられますね。

「この人がおもしろいと言うんだから、何かおもしろいところがあるのかも」

「この人がそれはいやだと言うんだから、その理由を理解してみよう」


そのあとに、

「やっぱり、私にはおもしろくなかったな」

「やっぱり、私はそれをいやだとは思わないな」

という結論になったとしてもかまわない。


まずは、この人の話を聞いてみよう。

そこからすべてが始まるのにな。

そこからすべてが始まったのにな。


この人の話は聞かなくてもいいや。

そう思うようになってしまったら、すべては終わってしまう。


理系兼業主婦日記:こわいこと

2008年6月12日木曜日

【研究本】グリンネルの研究成功マニュアル


グリンネルの研究成功マニュアル—科学研究のとらえ方と研究者になるための指針

フレデリック グリンネル(著)
白楽 ロックビル (翻訳)

発売日: 1998


《目次》

はじめに
第1章 研究は普通の人間の普通の行為
第2章 観察するとはどーいうことか
第3章 実験のデザインとデータの解釈
第4章 学会・大学院・研究室とはこんなところだ
第5章 いい評価を得る
第6章 科学には不正、落とし穴、危険がいっぱい
第7章 科学も社会の一部である
あとがき

2008年6月11日水曜日

Symplus Wiki

分子生物学の用語や情報


バイオ関連の用語や情報をまとめ、随時更新を行っています。教育や研究の現場で役に立つ情報に的を絞っています。

Symplus Wiki

Symplus Wiki|bio:ツール集


便利なサイトへのリンクが充実しています。

2008年6月10日火曜日

【ひとこと】大統領のように働き、王様のように遊ぶ

大統領のように働き、王様のように遊ぶ


メリハリをつけて、目一杯働いて、おもいっきり遊ぶ。

こうありたいですね。

2008年6月8日日曜日

In-silico Human研究会セミナーに参加しました


大阪大学中之島センターで開催された『In-silico Human研究会セミナー』に出席しました。

【演題】

In-silico Human研究会セミナー「In silico ADME & 薬物相互作用データベース」

開会のあいさつ
倉智嘉久(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター・センター長)

「in vitroデータからのヒト薬物体内動態・薬効・副作用発現の予測法」
鈴木洋史(東京大学医学部附属病院薬剤部・教授)

「動態変化を伴う薬物相互作用の網羅的予測とデータベース構築」
樋坂章博(東京大学医学部附属病院薬理動態学講座・特任准教授)

「フィジオームプラットフォームを用いた薬物相互作用データベース構築に関する検討」
野村泰伸(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター・g-COE拠点リーダー)

「創薬におけるインシリコADMEシミュレーションの役割 -インテグレーテッド概念からインシリコスクリーニング、並列創薬への展開-」
湯田浩太郎(富士通株式会社)

閉会のあいさつ
金井好克(大阪大学医学系研究科・教授)


【注目ポイント】

(1)鈴木 洋史 先生 「in vitroデータからのヒト薬物体内動態・薬効・副作用発現の予測法」

 90年代では、人における薬物動態が、2000年代では、心臓障害や肝障害といった副作用が、臨床試験における創薬開発の中止の主な原因となっているそうです。

 薬物動態については、コンパートメントモデルを用いて、薬物のバイオアベイラリティーを数理モデルにより予想されていました。このモデルによって、投与する種差によって、バイオアベイラリティーに大きな差があることを明らかにされていました。今後は、薬物毒性の発生の予測が課題だということでした。


(2)樋坂 章博 先生 「動態変化を伴う薬物相互作用の網羅的予測とデータベース構築」

 薬物相互作用によるCYP3A4の阻害や誘導について、薬物血中濃度(時間曲線下面積:AUC)を予測する数理モデルをもちいて、網羅的に薬物相互作用を予測されていました。

 CYP3A4に限っても、併用する薬物のパターンは200種類以上考えられるため、そのすべてを臨床試験で検証することは、不可能です。そこで、樋坂先生は、AUCを基質薬物の経口クリアランスの寄与率と、CYP3A4の阻害剤や誘導剤を予測する数理モデルを臨床試験の研究結果から構築されていました。このモデルにより、これまで注意されていなかった薬物相互作用の中から、禁忌となりうる薬物の組み合わせを見つけられていました。

 先に述べた通り、組み合わせて検査すべき薬物は、既に組み合わせ爆発を起こしているだけでなく、次々と新薬が市場に出回ることになります。樋坂先生のモデルは、非常に精度よく薬物の相互作用を予測できるため、臨床的にも非常に有用な研究成果だと思いました。


【感想】

 意見交換会では、多くの先生方が出席されました。日本の歴史から、今後のプロジェクトの方向性まで、非常に幅広いお話も聴くことができました。印象に残った一言を書き記しておきます。

 *技術が大切だ
 *日本語(の論理)に縛られるな
 *何でも体験し、その苦労を知れ


【参考サイト】

日本製薬工業協会

2008年6月7日土曜日

サイエンスを愛するアーティスト



 今回は、常々サイエンスとアートは近いと考えていたら、HILOKIさんのブログの中でピンとくる記事がありました。『ダリとエッシャー:科学好きの画家たち』を紹介します。ダリも、エッシャーもマグリットも大好きな画家です。(発表スライドを拝見していますと、理研の上田先生もエッシャーがお好きなようですね。)

 ダリは、相対性理論・原子力物理学・分子生物学に興味を持ち、画風に反映させたそうです。また、エッシャーも科学(特に幾何学と物理)に強い興味を持ち、「私は芸術家よりも科学者のほうが話が合う」と言っていたそうです。

 絵が好きな科学者と、科学に興味をもつ芸術家、やっぱりいい組み合わせだと思いました。


【参考サイト】

生命の理解、そして「理解」の理解。:ダリとエッシャー:科学好きの画家たち
 ミュージアムでの絵画展に行かれ、科学と芸術について感想を書かれています。

ギズモード・ジャパン:エッシャーの騙し絵「滝」を3D化
 エッシャーの絵と、3次元化した様子が掲載されています。息抜きにどうぞ。

大隅典子の仙台通信:史上最高!
 私も、飛行機の日時を間違えて、空港の受付で恥ずかしい思いをしたことがあります。でも、大隅先生はそれとは比べ物にならないほど、壮絶な一日を過ごされたそうです。これはスゴい、自分だったらどうなっていたか?息抜きついでにどうぞ!ドキドキかつスピード感のあるエントリです。(お忙しいのでしょうね。お疲れさまです。)


【関連記事】

デザインとサイエンス
 デザインの現場と、研究室の類似性について記事を書いています。

サイエンスについて知っておくべき3つの”定理”
 サイエンスとアートの類似性を示唆する記事を引用しています。

アインシュタインが残した10の名言
 ダリが愛した相対性理論といえば、アインシュタインですね。

【バックリンク】

◦ 独創的に考える

2008年6月6日金曜日

アインシュタインが残した10の名言


 尊敬するアインシュタイン博士の言葉をまとめられた、百式管理人さんのIDEA*IDEAから記事を紹介します。

アインシュタインが残したいくつかの名言をまとめたものです。

いつものように超訳っす。全部で10あります。

1. 間違いを犯したことのない人というのは、何も新しいことをしていない人のことだ。

間違いを恐れずに、ということですよね。シリコンバレーでよく言われる「Make mistakes early」(失敗は早い段階でやっとけ)という言葉も好きですね。

2. 教育とは、学校で習ったことを忘れたときに覚えているものだ。

確かに、ですね。ある教授に聞いた「教授の仕事は教室で何を教えるかではない、教室から外に出たときに何をすべきかを教えることだ」という言葉も好きですな。

3. 想像力は知識よりも大事だ。想像力には限界がないからだ。

これも有名な言葉ですね。知識を組み合わせる知恵(=想像力)こそが大事ですね。

4. 創造のコツは、それがどこから得たものかわからないようにすることだ。

誰のアイディアだったかわからないぐらい、自分のアイデアを練りこんでオリジナリティを出しなさい、という意味ですね。

5. 人の価値とは、その人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる。

与えることで本人が豊かになる、という大事な法則ですね。似たような言葉で(似ていないかな)、「その人の知性は答えではなくて質問で測られる」という言葉も好きですね。

6. 君には二つの生き方がある。奇跡など起こらない、と信じて生きるか、すべてが奇跡だ!と信じて生きるかだ。

すべてが奇跡だ!と思えれば毎日が輝かしいですよね。

7. 夢見ることが何よりも大事だ。

単なるポジティブ思考よりも、毎日わくわくとすごす方がいいよ、という彼の教えです。

8. やりたいことがあったらやってみよう。

起業したい・・・と思っていたらまず自分がやらなくてはいけません。行動あるのみ、なのです。

9. ゲームのルールを知ることが大事だ。そしてルールを学んだあとは誰よりも上手にプレイするだけだ。

誰よりも上手にプレイしていると最後は自分と戦うことになります。自分のベストに常にチャレンジしなくちゃ、ですね。

10. 質問をやめるな。

大事なのは質問をやめないこと。それが知識への道なのです。

【バックリンク】

● サイエンスを愛するアーティスト

2008年6月5日木曜日

【研究本】図で考えれば文章がうまくなる


図で考えれば文章がうまくなる―「図解文章法」のすすめ

久恒 啓一

2005


《目次》

はじめに
第一章 「文章読本」は何を語ってきたか
第二章 「文章読本」に足りなかったもの
第三章 図解文章法
第四章 実践:図解文章法
第五章 文章論・文章術と、文章法

2008年6月4日水曜日

会社は教師のいない学校である!

今回は、松山 真之助さんの書評を紹介しながら、仕事をこなすために大切なことを考えてみます。

僕の思いつき

冒頭では、「会社は教師のいない学校である!」と宣言。
企業が体育系の学生を好む理由を考える。体力とか根性が決め手ではない。では何か・・・それは、彼らが身につけてきた「縦社会における対人スキル」、それこそが評価されているのだと分析する。

対人スキルとは先輩の言うことはなんでも従う・・といったものではない。
健全な体育系の縦社会には、実力重視な部分と、年長を敬うという、一見相反する仕組みが共存しているのである。1年生のエースがいる野球部でも、そのエー スはちゃんと先輩を立てて行動する、3年生といえども実力のある一年生エースは認めて応援してあげる・・・こういった縦社会である。そこには、微妙な空気 のやり取りがあり、それを身につけた体育系学生こそが「対人スキル」があるというわけだ。ふむ、なるほど、そういうことか・・・。

学校と社会。二つの世界は、面白いリンクと関係性があったことに気付く。

   ・・中略・・


 将来、有効となる能力とは、理解力、想像力、表現力の、3つである。
 (鈴木光司、なぜ勉強するか? より)

 仕事のモノサシは、時間、コスト、労力。

 行動とはすべて、「最初の5メートル」がもっともエネルギーを使う。

 注意すべきは「半径5メートルの人間関係」である。


 体育系マインドを持つ学生を好むのは、会社だけでなく研究室でも同じだろうと思いました。また、研究室では、講義を聴くだけという受け身のスタイルではなく、自ら学ぶという積極的な姿勢も必要ですね。


【参考書籍】

成功の五角形で勝利をつかめ!

三田 紀房

2008

2008年6月3日火曜日

東大で学んだ卒業論文の書き方




中田 亨 (産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センター)
東大で学んだ卒業論文の書き方


卒業論文や、報告書などの文章作成の参考になります。

【ひとこと】丸い卵も切りようで四角

丸い卵も切りようで四角、物も言いようで角が立つ


言葉は、選んで使うと良いですね。

2008年6月2日月曜日

Mac OSの使い方(All About)


All About:Mac OSの使い方
  Mac OSの使い方や関連製品のレビューをわかりやすく解説します。

MacBook Airのレビューもありました。

2008年6月1日日曜日

武田 双雲氏(書道家)のことば


 好きな書道家の武田 双雲さんについて書かれた記事をみつけました。yoshinoriuedaさんの、『Entrepreneurshipを探る旅』というブログ記事を紹介します。

何年かやっていくうちに、「相手への思いやりがないと儲からない」というのがわかってきた。「俺が、俺が」って自分の凄さを見せつけても、何も回らない。その気づきを与えてくれたのが、ストリートでお客さんに「ありがとう」って言われたことだと思います。相手を喜ばせるためには相手の立場になって、相手のことを考えなければいけないんだなと思い始めたら、少しずつ仕事がうまくいくようになった。...
NTTを辞めて道端で文字を書くようになった武田双雲氏がここまで注目されるようになったのは、確かに「ありがとう」の一言がきっかけだったのだろう。そして、それをきっかけに、「「俺が、俺が」って自分の凄さを見せつけても、何も回らない。」ということに気づいたというところが大きな成長のきっかけだったのだろう。


 基礎研究の先で病気と闘う患者さん、あるいは、ともに毎日をすごしている研究室の皆さん、いろいろな相手の立場になって考えることも大切なのでしょうね。私も心に留めておかなくてはいけません。

 すこし、武田 双雲さんのお話と近いので、私が高校時代に良く聴かされた言葉を最後に紹介しておきます。

  『してやるのではなく、させていただくのです。』


【参考サイト】

Entrepreneurshipを探る旅:「『俺が、俺が』って自分の凄さを見せつけても、何も回らない。」by武田双雲

デザインとサイエンス


 今回は、HIROKI tanahashiさんのブログ『DESIGN IT! w/LOVE』を読んでいたら、これはサイエンスにもあてはまるのではないかと思いました。

デザイン作業を含む創造性の生態系のメカニズム

そうした意味においてデザインとはクリエイティブな作業です。それはデザインする側にクリエイティビティを求めると同時に、デザインされたものを使う側にもクリエイティビティを求めます。

最近、こんなことを思うのです。

  • 人びとが意識/無意識的にもっている思想・哲学がモノの形を規定し、
  • モノの形は人びとの行動に制約を与えるとともに、行動判断のリソースを提供し、
  • 人びとの行動はその思想・哲学を形作る。

と。

 サイエンスに置き換えて、考えてみるとこのようになるのではないでしょうか?

  ・科学者の思想・哲学が、論文・データベース・研究成果などを規定する。
  ・多くの研究者は、先行研究に基づいて自分の研究を進める。
  ・研究活動自体が、科学者の思想・哲学を反映したものとなる。

 また、HIROKI tanahashiさんは、次のようにも述べられています。

中途半端なものづくりではこのプロセスに乗ることもなく、いくら作っても何も変わらず、同時に自分たち自身も生態系から押し出されて破滅に向かうことになる。そういう進化論的メカニズムがここに働いているという風に考えた方がいいのではないかと思っているんです。

 「良い研究をすることが、大切だよ」という、私が尊敬する先生の言葉を思い出しました。

ものづくりの本質を夢想する

そんな生態系のメカニズムを踏まえたうえで、『ペルソナ作って、それからどうするの?』で紹介しているユー ザー中心デザインの方法というのは、創造的なデザインが決して一握りの優れた才能の持ち主だけに可能な特殊な能力なのではなく、意欲あるものなら誰でもそ の方法を知り訓練によって身につけることで可能になるような、とりあえず現時点ではもっとも優れた手法の1つであると思っています。

 ものすごく単純な例で言うと、誰にでもできる実験手法や、直感的に使いやすいツールを開発することと似ていると思いました。

 さらに、次のようにも述べられています。

昨日の「『ペルソナ作って、それからどうするの?』発売開始。TB&コメントはこちらへ」でも書いているのですが、僕は、

  • デザインという作業は、問題発見から具体的な問題解決法の創造、そして、それを実現する方法を編み出す、総合的で創造的な思考・作業だと思いますし、
  • また、それは決して一握りの優れた才能の持ち主だけのものではなく、「創造の方法」というものを知り、それを訓練によって身につけることで意欲あるものには可能なことだと思っています。

ただ、この方法というのは、誰もが学べ、意欲さえあれば身に着けられるものだとは思っていますが、その方法を使って導き出されるものが画一的−誰がやっても同じではないという意味では、エンジニアリング的な方法ではないと思っています。

 科学と芸術は似ています、同じペンでも描かれる絵が異なるように、意欲を持って努力を続ければ、素晴らしい研究成果に出会えるのかもしれませんね。


【参考記事】

1.サイエンスについて知っておくべき3つの”定理”
 サイエンスとアートの類似性を示唆する記事を引用しています。

【参考サイト】

DESIGN IT! w/LOVE:大事なのはトータルな視点での創造する力であって部分的な方法ではない。

【バックリンク】

● サイエンスを愛するアーティスト
● 学ぶということが創造的である