2008年8月23日土曜日

第20回 高遠シンポジウムに参加しました



今年も高遠シンポジウムに参加してきました。片道5時間の長旅ですが、伊那市の景色をみると毎年来てよかったと思います。今年で高遠シンポジウムも20周年になるそうです。毎年参加者に配られるTシャツには、新井 賢一 先生の書が入っていました。かっこ良いですね。


水島 昇 先生と村田 茂穂 先生は、オートファジーとプロテアソームによる蛋白質分解について、それぞれ講演されました。受精時・出生時・絶食時におけるオートファジーの活性化の意義や分子メカニズム、プロテアソームを構成する7つのサブユニットのアッセンブリー機構の解析と、サブユニット変換によるプロテアソーム機能の変化など蛋白質分解の最新データを紹介して頂きました。

また、村田 茂穂 先生がプロテアソームのリング形成におけるサブユニットが会合する順番を綺麗に同定されたデータを示してから、「私は、これが見れるだけで幸せなんです。」と言いながら生理的意義を付け加えられていたのが印象的でした。美しい科学を追究する研究者の姿を垣間みることができました。

白髭 克彦 先生には、コヒーシンとインシュレーターのゲノム上の協同的なダイナミクスについてChIP-chipデータをご紹介いただきました。クロマチン免疫沈降とマイクロアレイの進歩により、DNA上の特定の位置にどのような因子が結合しているのか、ヒストン修飾の状態はどのようなものかが、空間的に非常に高い分解能で観察することができるようになってきたことに感動しました。「酵母の話を油谷先生にするとどうなるか・・・」というこぼれ話が面白かったです。

塩見 春彦 先生には、遺伝子サイレンシング蛋白質(Argonaute)に結合する小分子RNAの同定から、小分子RNA の切り出し生成→標的配列のサイレンシング→小分子RNA の切り出し生成というサイレンシングのサイクルについて紹介して頂きました。このサイレンシングのループがトランスポゾンの危険から生体を守るシステムの1つであることが良く理解できました。



高遠シンポジウムの歩みが展示されていました。これまでに、たくさんの先生方が講演されていました。



第 5回(1993) 花岡 文雄 先生,堀越 正美 先生,他
第 7回(1995) 大隅 良典 先生,他
第 9回(1997) 田中 啓二 先生,児玉 龍彦 先生,他
第10回(1998) 浅島 誠 先生,柳田 充弘 先生,他
第11回(1999) 加藤 茂明 先生,宮園 浩平 先生,花房 秀三郎 先生,他
第13回(2001) 中辻 憲夫 先生,他
第14回(2002) 冨田 勝 先生,他
第15回(2003) 宮野 悟 先生,他
第16回(2004) 中村 義一 先生,長田 重一 先生,他
第17回(2005) 中山 啓子 先生,山本 雅之 先生,他
第18回(2006) 上田 泰己 先生,山中 伸弥 先生,御子柴 克彦 先生,他
第19回(2007) 寒川 賢治 先生,遠藤 斗志也 先生,他


【感想】

夕食会ではたくさんの方々と、交流することが出来ました。異分野の研究に触れることは本当に良い刺激になります。また、普段抗体を使わせて頂いているMBLさんの研究開発についても興味深いお話を伺うことが出来ました。

朝食時には、谷口 維紹 先生が、「このシンポジウムは幅広い分野から老若男女が集まっていますね。」とおっしゃられていました。たしかに、今回も大学院生から、定年後さらにご活 躍されている先生方が一同に会して、免疫・発生・エピゲノムなど幅広い分野を学ぶことのできる素晴らしいシンポジウムでした。

MBLの皆様、今年もお世話になりました。ありがとうございました。

MBL ♪ MBL ♪

朝の湖畔の散歩が清々しいですね。



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