2008年4月20日日曜日

若手が将来の科学政策を考えないでどうする



 今回は、先日出席した日本生理学会『まずは 溶かして 混ぜてみよう!:第85回 日本生理学会大会に参加しました』で行われていた、シンポジウムについて大隅 典子 先生のブログを引用しながら、研究者を職業という点から考えてみます。

以下は、若手研究者の実情について議論されたシンポジウムの締めくくりに、大隅先生が一言まとめられて(話したかった)内容だそうです。

アカデミアというのは、好きなことを仕事にできる幸せな職業の一つです。「好き」だからこそ仕事に没頭し、ワーク&ライフバランスが「ワーク」に傾くこともありがちかもしれません。でもそのバランスは状況に応じてflexibleであるべきで、そういう働き方の多様性を認めることが(男女関係なく)学術の発展に重要でしょう。
もう一つ「メンターが大切」というご指摘がありました。年長のメンターの方も大切ですが、いろいろなことを相談でき、批判もしてくれる「友人」も大切です。同じ業界の違う組織の方でも、同じ職場で違う分野の方でも、あるいは、仕事はまったく関係ない、趣味を同じくする方でも。そんな多様な人間関係が、心を豊かにし、ストレスを和らげ、また、違った発想を生むことになるでしょう。


 たしかに、「好きなことして仕事してるんだから・・・」などと、他の業種の方に私もよく言われます。自由に仕事しているというイメージが一般的にも広まっているのでしょう。私自身は、正社員として働いたことはありません。ですので、厳密には分かりませんが、研究職というくくりの中で企業人と大学人を比べると、やはり大学人のほうが自由度(いろいろな意味で)は高いのだろうと感じています。

 ただし、この自由度には向き不向きというか、得意不得意があると感じています。つまり、一定範囲内でという条件付きで、何をやっても良いと言われて、嬉々として研究に没頭できるタイプと、何をしていいか分からなくなるタイプに分かれるということです。前者は、方向性を間違わない限りは問題ないように思います。後者は、悩みながらも一生懸命「何をすべきか」を考える機会を持つという点では問題ないと思います。ただ、その過程が苦しいので、しばしば後者は悩みのタネになるでしょうね。

 私自身は、おおむね前者であろうと思います。(たまに、何をしていいか分からなくなる。こともありますので)また、自分が後者になった場合は、やはり非常に苦しみながら、一生懸命「何をすべきか」を考えるようにしています。

 メンターの大切さは、ここ最近注目されていますし、私自身にも数人のメンターと「心の師」がいます。研究職は、とかく”研究だけ”になりがちですが、例えば、アルバイト・趣味・習い事といった外の世界との繋がりを維持することも大切だと思っています。そういう繋がりは、精神を維持するだけでなく、研究アイデアの着想にも影響を及ぼすような気がします。

【関連記事】
◆『大隅典子の仙台通信:好きなことを仕事にできるという幸せ・その1
◆『大隅典子の仙台通信:好きなことを仕事にできるという幸せ・その2
◆『まずは 溶かして 混ぜてみよう!:第85回 日本生理学会大会に参加しました

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