2008年5月25日日曜日

5 mmのずれがメダルの色を変える

 雑誌を読んでいたら、平泳ぎの金メダリストの北島康介さんの記事を見つけました。スイマーとして尊敬する1人です。なぜ、彼が速く泳ぐために必要なトレーニングが紹介されています。

 例えばスクワット。形としては、バーベルを担いで、しゃがんで立ち上がるだけだが、北島の場合、左右のバランスを極限まで追求する。ヒザを曲げる時、伸ばすとき、完璧にまっすぐに下ろして、真っ直ぐに上げる。中心の軸が5ミリずれても、それが分かるように訓練していく。その、ほんのわずかなずれを修正するするために、どの筋肉を、どう使えばいいのか。その感覚を養っていくのである。

 なぜそこまでする必要があるのか。それは、平泳ぎという泳法が、左右対称の泳法で、筋肉の左右のバランスが非常に重要だからだ。

日経ビジネス Associe (アソシエ) 2008年 6/3号:   
ニュースのキーパーソン 北島康介

 普段、私たちは、細胞生物学的や分子生物学的な方法で、実験しています。そこには、いつも実験誤差がついてまわります。これらの誤差は、生物学的反応の不安定さから始まり、私たちが試料を調製して、最終的に測定するまでの各ステップに由来します。

 「生物学的反応の不安定さ」は、それ自体に意味があり、システムとして揺らぎがあるのだろうと理解していますが、一番の問題は、手技的誤差であり、できる限り改善する必要があります。

 したがって、研究の第一歩は、実験手技を習熟することになります。したがって、北島選手のように、操作の重要なステップで、mm単位のオーダー(実験によっては1 mm以下の動作が必要なこともありますが)を意識することが大切だと思いました。さらに、ある程度経験がある手法でも、絶えず「どうすればもっと上手くできるか?」を考えながら実験すると技が進化するのも間違いないでしょう。

 職人と言われる実験者は、きっとこれくらい、あるいはこれ以上に、シビアに毎日実験されているのではないでしょうか?

 私も、心に留めながら実験しようと思いました。


【参考図書】

日経ビジネス Associe (アソシエ) 2008年 6/3号

日経BP出版センター

2008

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