2008年6月21日土曜日

知識と思考

 大学でレポート作成を課題として出すと、ネットで検索した結果を、丸々コピペして提出する学生が多いというはなしを良く耳にします。このような、“コピペ”は最近始まったことではないと思います。なぜなら、ネットが普及する以前は、図書館に行って専門書を読み、その内容を“抜き書き”して提出するケースも少なからずあったと想像するからです。

 Satoshi Nakajimaさんは、ブログ『Life is beautiful』の記事で、ご自身の記事が丸写しされたという経験をもとに、次のように“コピペ”の問題点を指摘されています。

 日本の学生の勉強に対する態度なんてそんなものなのかも知れないが(それはそれで憂うべき話だがその話は別の機会に)、少し心配になるのがどんな 気持ちでその手の「コピペ」をしているのか、という点である。確信犯的に「徹底的に手を抜きたいからコピペしているだけ」ならまだ許せる。私が問題視する のは「自分で考える前にまずググる」習慣であり、「ググれば答えが見つかるにちがいない」という錯覚である。

 暗黒時代とも呼ばれる中世ヨーロッパで科学の進歩があんなにも長い間低迷した原因の一つは、あの時代の人たちが聖書に書いてあることすべてを絶対 的な真実として受け入れてしまい、自分で考えることをやめてしまったこと。地動説を主張したガリレオが弾圧されたのも、天動説を絶対的な真実として受け入 れて思考停止をしてしまった社会のなせるわざだ(このあたりの話に関しては、「古典力学の形成」に詳しく書いてある。ちなみに、この本は理科系の人たちにとってはすばらしいエンターテイメント)。

 問題は、上に書いたように自分で考える前にググって「手っ取り早く答えを見つけてくる」ことを習慣的にやってきた学生が社会に出た時に、ちゃんと 自分で考えることができるのだろうか、ということ。自分で考える努力をせず、ネットで見つけた情報を頭から信じて行動することは、聖書に書いてあることを 頭から信じ込んで思考停止をしてしまった中世ヨーロッパの人たちの行動と同じだ。

 ということで、今日のメッセージは「宿題を手っ取り早く終わらせるためにググってコピペするのはかまわないが、あくまで確信犯としてやってほし い」ということ。特に仕事でネットを使う時には、ネットにはでたらめな情報・勝手な意見があふれている、ということをキチンと認識した上で使いこなしてほ しいということ。

 難しい問題に直面したときに、自分で考える前にまずググって答えを探してしまっていませんか?ネットで見つけた解決方法をろくに考えずもせずに採用してしまっていませんか?


Life is beautiful:自分で考える前にググっていませんか?


 「ネットにこう書いてある」といって、真に受ける人が多いと私も最近感じています。自分で考えないということの問題点を指摘されている良い記事だと思い、引用しました。

 私自身も、日々Googleを活用して、書籍・論文・学会抄録・議事録などを収集しています。情報が過剰になるとどうしても思考することが疎かになりがちですね。

 知的生産には、信憑性の高い情報を適宜引用して、自分の主張の根拠としていくことが必要ですね。自分でも気をつけようと思いました。最後に、これに関連して、lets_skepticさんの記事も引用しておきます。

私が考える問題解決の道は以下である。

  1. 問題意識を持つ(これから解決すべき問題を知る)
  2. 情報を集める(ググる)
  3. 情報を理解し評価する
  4. 考えをまとめる

Skepticism is beautiful:考える前にもっとググっていいんだよ



【参考サイト】

* Life is beautiful:自分で考える前にググっていませんか?
* Skepticism is beautiful:考える前にもっとググっていいんだよ


【バックリンク】

● 学ぶということが創造的である

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